うめはらなかせの日記みたいな掲示板2

アコースティックギターの前にすべての曲は平等である

古い契約書の物語

ようやく読み終えました。

長かった。

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小説「聖書」旧約篇

つまり聖書をノベライズしたものです。

聖書って膨大な読み物で、しかも、

いくつもの書から構成されているので、

複雑すぎて通読するのが難しいようなのです。

聖書ってんどんな本? | Bible Learning

 

キリスト教では旧約聖書新約聖書聖典としているものの、

よくホテルの部屋に置いてある聖書は、

基本的には新約聖書のみのようです。

なので旧約聖書を目にする機会もないですよね。

 

ともかく旧約聖書だけでも、

モーセ五書(律法)

・歴史書

・文学(諸書)

・預言書

と分量が多いので、それを読みやすく

小説のスタイルで書いた本書は、

画期的だと絶賛されているわけです。

見てください、この帯。

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聖書はこんなに面白かった!

って帯の文句に乗せられて読んでみました。

おなじみのアダムとイブ、ノアの箱舟

モーゼが"海を割った"エピソードも出てきます。

だけど、それ以外は延々といろんな名前の人が出てきて、

延々と同じようなことが繰り返されるので退屈でした。

途中で読むのをやめた人も多いのではないでしょうか。

 

ましてこれを読んでユダヤ教に改宗しようなんて人も皆無でしょう。

日本人としては、なんで主=神様がヘブライ人だけを

特別扱いするのかよくわかりません。

お前たちだけを救ってやるから契約しなさい

っていわれてもなあ。

「なにそれ、マジやばそう」って女子高生なら言いそう。

すべての民を等しく扱わない神様の動機ってなんなんでしょう。

 

聖書のなかで、主と民は、契約を結んでは

民がそれを忘れて好き勝手して、

見放されたり、滅ぼされたりすることのくり返しです。

民はまさに「車輪がまわるように」、

神の前に悔い改めては過ちを犯します。

神様は実に人間ぽくて、怒ったり、むくれたりします。

一度契約を破ったのだから放っておけばいいのに、

頼まれもしないのに預言者を通じて何度も呼びかけるんです。

日本の古事記だったら天照大御神が天岩戸に隠れたら、

みんな歌や踊りで、お出ましを願いますよね。

それとは違って、あまり民から求められてるって感じがないんです。

 

人間は人間でまた、なんでそんなことをするのか、

よくわからない行いをします。

一例を挙げると、町が不埒な集団に襲われたとき、

ある家の男は自分の使用人の女を外に出して

鍵をかけて閉じこもります。

女は外でさんざんに暴行されたことがもとで死んでしまうのですが、

後に男はその集団の非道を訴えて、戦争へと発展します。

なんか釈然としません。

神様にも人間にも感情移入できません。

数千年前も前から、このパレスチナ地域で、

人間は争い続けてきたのだなあということは感じました。

それほどに戦いと殺戮のエピソードが

うんざりするほど出てくるのです。

心が和むようなエピソードはちょっと思い出せません。

 

なのでこの本、よっぽど宗教や歴史に

関心のある人にしかお勧めしません。

それなのに1998年5月に第1刷が出て、

同じ年の11月に第17版って、すごくないですか。

この帯の惹句に期待した人が多かったんだと思います。

ちなみに旧約聖書の「約」は契約の約です。

古いほうの契約書ってことすね。