仕事に必要だったので読みました。
13年前に出たユーミンの対談本です。
才輝礼讃 38のyumiyoriな話
本書は、読売新聞水曜夕刊「Pop Style」にて
2008年8月から2011年8月まで連載された
「yumiyoriな話」を再編集したものです
2008年、リーマンショックの年に連載が始まって、
2011年、東日本大震災の年に連載が終わるという、
日本の節目から節目にかけての連載だったんですね。
当たり前ですけど、対談相手は著名人ばかり。
写真を見ると銀座のクラブのママみたい。
【対談相手】
爆笑問題/唐沢寿明/久米宏/吉永小百合/市川海老蔵/北島三郎/バズ・オルドリン/宮藤官九郎/石田衣良/小林武史/石原慎太郎/益若つばさ/森光子/朝青龍/やなせたかし/姜尚中/やくみつる/鳩山幸/三谷幸喜/森英恵/ゆず/寺島しのぶ/隈研吾/中井貴一/千原ジュニア/辻井伸行/池上彰/松井冬子/杏/高橋尚子/立川談志/岡田武史/上野千鶴子/おすぎ/根岸英一/小林克也/井上真央/井上陽水
いまから16~13年前のユーミン、若くてきれいです。
対談相手とツーショットの扉写真が楽しめました。
2010年だとユーミン56歳くらい?
それでもピッカピカな見た目です。
お気に入り写真を貼っておきましょう。
ユーミンは、膝から下が長い、きれいな脚をしてはるんですけど、
脚フェチのぼくにいわせると色気はないんですねえ。
でも、右の2つは、まさかの生足!?
とか思いながら堪能しました。
対談を読んでるとユーミンの才気煥発ぶりが伝わってきます。
なんでもよう知ってはるし、
かといって教養をひけらかす感じもなく、
そこそこの相手に対しても物おじせず、
しっかりした自分を見せてはります。
そらもうすでに頂点を極めたクリエーターですもんね。
しかも50代、働き盛りの手練れで。
どのページが面白いかは、
対談相手への好みもあるでしょう。
ぼくが面白いと感じたパートを抜き出してみます。
石田衣良
2009.3.7掲載
石田 そうですね。それにエロ坊主って多いですよね(笑)。
松任谷 (笑)そのエロも含めて信じられるっていうか。 自分に向ける欲望はどうですか。ナルシシズムとか。
石田 あまりないんじゃないかなぁ。感情に溺れやすいとこはあると思いますね。でも、そういう点で言ったら、今日本の作家で一番ナルシストなのは村上春樹さんだと思うけどな。あの文体は、自分のことが誰より好きな人が書く文体ですよ。だから、世界中の、これからどう生きたらいいのか迷っている男の子たちが、そのナルシシズムに反応するんじゃないですかね。
松任谷 文体に出るんですか、そのナルシシズムが。
石田 出ると思いますね。
松任谷 女性の作家さんにはそういうナルシシズムはないんですか。
石田 あると思いますけど、でも、女性の場合は、どんなに自分が好きでも、関係性を作ろうとするんですよ。自分と同じ比重で男性が出てくることが多い。たとえば村上春樹さんの小説で、主人公の「僕」と同じ比重の女性って1人もいないですよね。刺身のつまぐらい、みんな。……ああ、今の切り口はいいですね。短い文学エッセーになりそう。
ちょっと変人っぽい自画自賛な感じが出てます。
村上春樹評はなるほどと膝を打ちました。
立川談志
2011.1.1掲載
松任谷 映画好きでいらっしゃいますね。
談志 好き。俺、一番好きなのはジューン・アリソン。「若草物語」の。
松任谷 あ、「グレン・ミラー物語」。えくぼがかわいい ですよね。私も、昔の映画好きなんですよ。
談志 俺ね、ジューン・アリソンで好きな話があってね。亭主がディック・パウエルという俳優さんで、自分 の女房を紹介する時に、「うちの女房は素晴らしい女です。それが証拠に、あのジェームズ・スチュワートが三度も女房にしたんですから」って、そういうジョークをね。
松任谷 (笑)
談志 いい話ですよね。
立川談志、もういないんですねえ。
こういうおしゃれなジョークを披露して、
悦に入ってるにやけ顔が目に浮かびます。
上野千鶴子
2011.3.4掲載
松任谷 ”長生きのマイケル・ジャクソン”をやりたいと思いますね、それは。
上野 え、それって、どちらのほう?
松任谷 え、だから、七〇ぐらいまで今のまんまっていうのをやってみたいと。
上野 七〇までって、今から…。
松任谷 一三年とかなんですけど。調子よすぎですかね。
上野 今お聞きしてると、それを維持するための努力 をちゃんとしておられるってことがよくわかります。よくわかりますけど、やっぱり人間はね、確実に、ゆっくり、老い衰える。私、この前若い読者から、なんと、「上野さんの死にざまを見届けたい」って言われたの(笑)。
松任谷 おお、それ、すごい(笑)。きっと愛があるん でしょうけど・・・・・・。
上野 まあ、そうだと思いますけど、若い人にそう思われる年齢に自分がなったんだなと。
松任谷 私もすぐです、それは。平等だと思います。ただ、もう少しこのイメージで走りたいなと思ってるんですよ。老いないなんて思ってないです。死が確実にあるように。でも、もう少しやるやつがいてもいいんじゃないかなと思ってるんですよね。
上野 それが目標七〇歳?
松任谷 そうですね。
この本が出版されたのが2011年10月。
いまとなっては遠い昔のようでもあり、
ついこないだのことのようでもあり……。
70歳までいまのパフォーマンスを続けたい
と宣言するユーミンに、5歳年長の上野先生が
ちょっとタジタジ気味に応じてるのがおかしいです。
そしてこの本の発行後13年して、
有言実行のユーミンをぼくらは確認しています。
ユーミン、すごいぞ!
って改めて感心しました。