必ず二回読みたくなる小説!
これ、帯の文句に惹かれて買ったのだと思います。
10年くらい前に買ったのに読んでなかったんですね。
イニシエーションとは、ある集団や社会で正式な成員として承認されること。
イニシエーション・ラブとは「通過儀礼のような恋愛」でしょうか。
ミステリーなので内容を紹介するとネタバレになってしまいます。
そのジャンルを書くだけでも予断を与えてしまうのでダメ。
ある程度、そういうジャンルだと思いつつ、
ぼくはかまえて読んだんですけど、
正直言うと読み終えて、どういうことかわかりませんでした。
それで二回読むのではなく、ネットで種明かしを検索して、
やっとその「仕掛け」がわかった次第です。
まったくお恥ずかしい話です。
種明かしを読んで、ああ、そうだったのか!
と心が打ち震えたかというとそうでもなく、
なんだかちょっと裏切られたような感覚でしょうか。
書き手と読み手の間にある通常の約束事を反故にされたゆえか、
同じ負けでも不本意な負け方をしたなという
忸怩たる思いが残るのです。
ミステリーでこのジャンルのものは、
あまりにこの作品が売れたので、
以降はあまり出ていないらしいです。
元寇の戦いで、名乗りを上げている間に短弓で射殺された武士みたいな?
こちらがルールだと(勝手に)思い込んでいた約束を破られたみたいな?
だまし討ちにあったような。
こうい感想って潔く負けを認めないトランプ前大統領みたいに
往生際が悪い印象を与えてるかも。
すべてはぼくにミステリー読者としてのセンスが欠如している
ということなんでしょう。
ぼくも若い頃に同種のSFやミステリーを読んで、
とても感激したのを覚えてますから、
きっと若い人でこういうジャンルは初めてって人には
すごく新鮮だったと思います。
この作品の構成(目次)は以下のように、
レコードのA面B面をなぞらえてあります。
それぞれの曲も謎解きのヒントなのかなあ。
知らない歌もありました(YouTube)。
side-A
揺れるまなざし(小椋 佳)
君は1000%(1986オメガトライブ)
YES-NO(オフコース)
Lucky Chanceをもう一度
君だけに(少年隊)
side-B
DANCE
夏をあきらめて(サザンオールスターズ)
心の色(中村雅俊)
SHOW ME(森川由加里)
そうそう、最後に一つ、著者名の乾くるみ、
てっきり女性だと思っていたら男性だったのですね。
そこはしてやられました。
完敗です。