うめはらなかせの日記みたいな掲示板2

アコースティックギターの前にすべての曲は平等である

老境の白眉人

身長が高くなる本

というハウツー本を友だちにもらいました。

高校3年生のときです。

そのときまでぼくには背が低いという自覚がなくて、

もっといえば、背が高いことの価値を知らなくて、

なんで? と思ったんですけど、

彼はお節介ながらも心配してくれてたんですね。

 

「男子は170センチ以上ないとだめ」

って時代になっていたんです。

あの頃すでに。

以来、ぼくは短足に加えて低身長という、

見た目の弱点を認識するわけです。

余談ですけど、こないだテレビで

身長を伸ばす手術をしたという男性を見ました。

両足を切断して金属製の釘を打ち込んでつぎ足すんですね。

リハビリ期間も含めて、こんなつらい手術を耐えてまで

背を伸ばしたい人がいるなんて驚きでした。

でもこんな記述がネットにありました。

2009年にオーストラリア人男性を対象におこなわれた調査によると、

背が低い人は背が高い人よりも稼ぎが少ない

(1インチ=2.54cm低いごとに年間500ドル=約7万円)。

同じく、出世も遅い(ある調査によると、

雑誌『フォーチュン』のトップ500社の男性CEOの平均身長は183cm)。

さらに、女性と恋愛関係になる機会に恵まれていない

(2013年にオランダでおこなわれた調査では、

パートナーどうしの男女において

女性が男性よりも背が高いケースはたったの7.5%しかなかった)。

ちなみに私は身長172cm。背が低めの男性である。

背が低いと、たとえばエコノミー・クラスの席がつらくない。

でも、ほかにどんなメリットがあるかというと、あまりない。

 

で、ぼくの話に戻ります。

30代後半に入ると、ぼくの見た目問題にハゲが加わりました。

20代後半から30代前半にかけて

すごくストレスの多い仕事、状況を経験して、

ぼくのデスクの下は抜け毛だらけになってました。

これでぼくの見た目問題三部作が完成されたかに見えました。

 

30代というとぼくは売れっ子ライターでした。

「うめはらさん、仕事が次々入っていいですよねえ」

とイケメンディレクターがうらやましがるので、

それじゃ、仕事が順調でハゲるのと、

髪ふさふさで仕事がないのと、

選べるんだったらどっち取りますか?

と訊いたら、彼はウーーンと考え込んでしまうんです。

とうとう答えが出ませんでした。

ぼくにしたら考えるまでもなく、ハゲなんかより、

仕事が繁盛してるほうが優先ですけどね。

ハゲてるとよくいじられますけど、

不快ではないし、いっしょに笑ってます。

 

ということで、ぼく自身は見た目問題、

日常的に鏡を見ないこともあって、

そんなに気にしてなくて、

コンプレックスにはなってないんですけど、

世の中には、高3時代の友だちのように、

気の毒がってくれはる人がいてはるんです。

ありがたいことです。

 

で、こないだいただきました。

手編みの帽子。

毛糸編みですけど、風通しがよくて蒸しません。

スグレモノです。

これなら熱いステージでも大丈夫。

 

ぼくの帽子の背後にテカってはる人がいます。

国電波を紹介してくれた橋本さんなんです。

その橋本さんから言われたんです。

眉毛、白なったなあ

って。

これも以前、女性のお客さんから指摘があって、

しばらくの間、眉毛を嫁はんにアイブロウ?

かなんかを塗ってもらってたんですけど、

もう面倒くさくてやめました。

 

年をとればとるほど見た目問題は増えてきます。

対策なんてムリッ! 

というかそういうのを超越できるのが

老境というものじゃないでしょうか。

健康でさえいられれば、見た目はどうでもよろしい。

70まで生きられただけでありがたい。

この年で普通に仕事できてることが奇跡。

毎日感謝して明るく笑って生きていますのよ。