舞台で踊ることになったんです。
何週間か前に、ライブの余興で
2分ほどクラシックバレエを踊ったのを、
劇団関係者の人が見てはって、
ぼくに白羽の矢が立ったんです。
ずっと先の話やなあと思ってたら、
とうとうその前日になりました。
劇団の人がばらばらと来て、
うつぶせになってください
と言うんです。
特殊な装具をつけて、薬品も打たれて踊る、
革命的な新しいバレエなんだそうです。
それは事前に聞いてたけど、手術されるみたいで怖くて。
でも、やるて返事してしもたもんなあ
とおとなしく従います。
ようやらはりますねえ、
素人さんやったら2時間もたへんかも
とスタッフの女性がしみじみと言うので、
それやったら半分の1時間は
うめなかライブにしましょか
とぼくは返事しました。
冗談のつもりで言うたのに反応ゼロ。
みんな黙りました。
よほどまずいことを言ったみたい。
ぼくはすーーーっと気持ちが沈んでいきます。
小学4年生くらいの男の子がフライヤーを見せてくれます。
素人の踊りなのに、
カラー刷りのちゃんとしたのが出てるんですね。
会場は祇園会館となっています。
あれだけの客席が埋まるんやろか。
男の子は励ますつもりなんでしょうか、
ぼくもライブで演奏したかったんや
と、男の子はピントはずれな声かけをしてくれます。
お母さんにライブはあかんと反対されてるんですって。
明日は祇園会館の舞台でバレエ公演です。
練習なんにもしてへんのに大丈夫やろか
すごく不安になったら目が覚めました。
バレエの舞台稽古(1874)
【ドガ 】
バレ工が主題の作品は数百点にのぼり、
特に楽屋や練習風景、パトロンが背後に立つ舞台袖など
華やかなバレエ界の現実を描いたものが多い。