うめはらなかせの日記みたいな掲示板2

アコースティックギターの前にすべての曲は平等である

甘美なしたたりのおすそ分け

こないだ読んだ文庫の巻末に

紹介されていたので続けて借りました。

田辺聖子の名言集みたいな本です。

人生の甘美なしたたり

筆者の小説やエッセイから、

たくさんの名言、警句、金言、至言が

選び抜かれて掲載されています。

書かれた当時から時代が変化しているからか、

もともとの個人的な価値観の違いのせいなのか、

はたまたぼくの頭の悪さ、経験不足のせいなのか、

いま読んでピンとこない文句もあります。

なので、ぼくの心にビビっときたやつだけ、

厳選して紹介したいと思います。

 

男と女

 

愛するということこそ、

人生の主役であり、

愛される、ってことは

脇役にすぎないのかもしれない。

人間だれしも愛されたい、

愛してほしいと願いがちですが、

人生を主体的に生きる人って、

だれかを愛する人なのですね。

けど愛する愛さないって、

自分でコントロールできることなのかしら。

 

女とは

女が男から言われる一番うれしい文句は、

「寝ませんか」というくどきである。

ほんまですか、これ。

もちろん好きな男性から言われたらって

前提なんでしょう。

もっと若い頃に知ってたら、

言いまくってたかなあ。

それにしても田辺聖子って

恋愛経験が豊富なのか深いのか、

観察眼がすごいのか……。

 

人(女)は向こうが自分を

愛していると確信を持てると、

別れられる、

皮肉で底意地の悪いイキモノである。

女ってそうなのでしょうか?

だとしても予防しようがないですね。

 

生と死

「死」の対極にあるのは「生」ではなく、

「恋」である。

へーーー、なるほど!

恋してるときって、

まさに生きてる!

って実感がありますもんね。

老いては男女の恋に限定せず、

対象は趣味でもなんでもよしとしましょう。

 

別れは別れであって、

別れにはいさぎよさも

美しさもオトナの別れもない、

本当はそこに修羅の泥濘がある。

ほんと、恋に破れた男のみっともなさといったら。

 

本音いわんよってに、京都の町は

千年から、つづいていてる

おほほほ、ほんまにそうどすえ~。

 

人は、点と点のつきあいでよい。

全貌くまなく捉える

線のつきあいでなくともよいのだ。

そうなのかと気が楽になる言葉です。

友だちでも知り合いでも、

必要な部分だけでも接点があれば上出来ですよね。

 

犬は〈自然〉でありながらも

〈人工〉的な存在である。

しかし、猫は自然そのものといっていい。

わかります。

犬って人間に忖度してそう。

 

夫も子もいれば

寝たきりのお爺ちゃんも抱えている、

こういう女が、時間をやりくりして

愛人に逢いにいくというのは、

火急の人であって火宅の人ではない。

やむにやまれずしてしまうから恋、

(ここでは性愛の意味?)なんですよねえ。

 

 自分をアホや思いつつ、やってしまう、

それを火宅という。

ああ、それもわかる。

してみると、田辺聖子は火急の人でもあり、

火宅の人でもあったんでしょうか。

あるいはそういう人が身近にいて、

注意深く観察していたのか。

 

 

 

以上、ぼくが抜いた以外に、

山ほど名文句が収録されています。

読み手によっては深く心に響くことでしょう。

以下は、この文庫の紹介文です。


恋愛の究極は手ェも握らんとこへ還る。

しょせん男は気立てと甲斐性。

人生エエとこどりでよい。

血は水よりも薄い――。

人間への深い愛と洞察力を持つ著者が行きついた、

鋭くてユーモラスな人生の決めフレーズ集。

日々をより楽しくするための応援歌であり、

ふとこぼれる本音であり、気持ちひとつで手に入る

幸福のさまざまなかたちの提言ともいえるだろう。