俳優の田中邦衛さん死去 88歳
という訃報が昨夜、流れましたね。
ぼくらの年代では、加山雄三演じる「若大将」のライバル
「青大将」として、「若者たち」のお兄ちゃんして
脳裏に焼き付いています。
老衰のため、家族に見守られながら息を引き取った
と記事にあるのを見てほっとしました。
ちょうどいまこんな本を読んでいるからです。
回復の見込みのない高齢者が、家族や医師、制度のために、
管につながれて耐えがたい苦痛のなかで死んでいく事例が
いくつも紹介されています。
書名の通り、欧米では寝たきり老人はいないとのこと。
その理由は、高齢者が終末期を迎えると食べられなくなるのは当たり前で、
経管栄養や点滴などの人工栄養で延命を図ることは非倫理的であると、
国民みんなが認識しているからでした。
ぼくの父はチューブにつながれた状態で亡くなりました。
手術の経過がよくなくて、そういう結果になったのです。
家族としては十分な治療をしてやってほしい、
少しでも長く生きてほしいと考え、病院も延命のために
できる限りのことをしたのだと思います。
その結果が、父を苦しめてしまいました。
痰の吸引や気管切開部のチューブ交換には、
拷問かと思う苦しさを与えます。
というところを読んだりすると、つらいです。
入院中、父が「タバコが吸いたい」と言ったのに、
その願いをかなえてやらなかったことは
いまでも悔いに残っています。
父は愛煙家でした。
幸いというか父の例があったことで母のときは、
なにもしないという選択ができました。
人間は死期が近づけば自然と食べられなくなり、
穏やかに死んでいくことができるという記述を読んで、
ぼくにも恐かった死が、少し身近に感じられました。