ここ何年かずっと見ないのですが、
以前は地下で水が流れる夢をよく見ていました。
地下に広い空間があって、壁にいくつも並んだ
大きな窓のような穴から噴き出た水が、
その下の平らな床の上を流れていきます。
そんな場所には行った記憶がないのに、
夢の中では何度も登場して、そこに行くと、
とても懐かしい気持ちになります。
父が水道技師だったので、幼いころに、
工事現場に連れていかれたんだろうかと、
それらしき建物は見当たりませんでした。
それで数か月前、
京都発のフォント(書体)が人気
という新聞記事を読んで、あっと思ったんです。
大日本スクリーン製造が発売した、
「ヒラギノ」のことです。
文字の濃度を均一にして、1画ごとの余白を均等に見えるように
工夫したということで、すっきりとした清潔感のある文字ですよね。
遠くからでも小さな画面でもパッとわかるそうです。
ヒラギノはiPhone、iPad、Macの標準インストールフォントになっていて、
Osaka Metroのサインでもよく使われているとか。
このヒラギノというネーミングの由来が、
京都市北区の「柊野」という地名です。
鴨川の上流ですね。
鴨川三角デルタのある今出川からまだ北。
調べたけれど、なんでヒラギノ=柊野かはわかりませんでした。
字游工房は東京だし、大日本スクリーン製造は上京区だし。
ただ柊野という地名は柊の木がたくさん生えていたから、
ということに由来しているらしいです。
柊はヒイラギと読むのに、柊野はヒラギノなんですねえ。
ぼくは柊野のことをずっとヒイラギノだと思ってました。
そのほうが雅な聴こえ方じゃないでしょうか。
柊野には「柊野別れ」という交差点があって、
その「別れ」とは、処刑場への最後の見送りを意味する、
という解釈がネットにありました。
いえいえ、そのような歴史的事実はありません、
と否定していたのが地元の京都産業大学。
京都ではT字路には「別れ」という名をつけるので。
「別れ」という言葉から処刑場という噂が広まったんだろうとのこと。
そのあたりに処刑場があったという事実もないようです。
でも、そんなことより、ぼくがあっと思ったのは、
何十年か前に柊野ダム(柊野堰堤)を見たときに、
夢の中に出てくる、あの独特のアーチ型をした「窓」が
そこにあったからです。
もしかして子どものころ、父に連れられて見た、
柊野ダムの記憶をそれからずっと夢に見ていたのではないか、
と、そんなことを思ったんです。
上の写真、下のサイトからお借りしました。
この「窓」は水抜き穴というようです。
水が噴き出しているわけではありませんが、形はそっくり。
なんでこれがずっと夢に出てくるのか。
わかる日は来るんでしょうか。