うめはらなかせの日記みたいな掲示板2

アコースティックギターの前にすべての曲は平等である

1917~スペイン風邪の前夜

先日、ここで紹介した「第三夫人の髪飾り」は、

なかせさんに所望されてゲオで宅配レンタルしたDVDでした。

そのとき1枚だけ借りるのでは送料がもったいないので、

もう1枚借りたのが「1917 命をかけた伝令」でした。

どちらも準新作で、セール期間中1枚150円だったんです。

(といっても送料込みだと1枚あたりは300円以上しました)

 

タイトルの通り、時は1917年、ところは第一次世界大戦下のフランス。

撤退するドイツ軍を追撃しようとするイギリス軍の大隊に、

撤退が罠であることを知らせに走るイギリス兵の物語です。

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最大の「売り」は全編ワンカット撮影ということでした。

実際には長まわしの映像をつないでワンカットのように見せる

ということらしいです。

非常に凝ったつくりですが、その効果のほどはよくわかりませんでした。

やはりこういう迫力のある映画は映画館で観たいものです。

 

映像は別として、第一次世界大戦ものとしては、

メル・ギブソン主演の「誓い」(原題:Gallipoli)が、

戦場のリアルな恐ろしさを描いていました。

塹壕から出て機関銃の弾幕に向かって突撃する

兵士たちの心情が真に迫っていて印象的でした。

「1917」の場合、そういう部分は希薄で、

むしろ英雄的な兵士の行動に焦点が当てられています。

 

ところで、第一次世界大戦スペイン風邪パンデミック

もたらしたといわれていますね。

当時の世界の人口の約3割にあたる5億人が感染し、

実に4500万人もの死者が出たとされる。

ほぼ半年遅れで波を迎えた日本では1921年まで感染が続き、

人口の約半分にあたる2400万人が感染し、

39万人が亡くなったと推計されている。

 

とのことで、この映画に出てくる塹壕の不衛生で密な状態を見ると、

それはウイルスも一気に広がるわなあと納得がいきました。

 

主人公がようやくたどりついた大隊の野営地に、

兵士が集まって歌を聴いている場面があります。

それがこの曲、「I Am a Poor Wayfaring Stranger」です。

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あれ? どこかで聴いたことあると思ったら、

これ、エミルー・ハリスのアルバムで知ってました。

このギターのフレーズはトニー・ライス

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同じ歌はエド・シーランもうたってますね。

で、これが「Adieu False Heart」と似てるんです。

リンダ・ロンシュタットのこの曲、うめなかでもカバーしています。

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こういうトラッドにはいろんなバージョンがあるのでしょう。

 

歌の起源はどうで、どこからどうやって広まったか、

歌詞には何パターンあるか……、

フォーク史に詳しい方を知っているので、

訊けばたちどころに教えていただけると思います。

しかし、訊いたが最後、

A4で3ページくらいの資料を書いてくださりそうで、

その労力を想像すると、とても訊ねる勇気がありません。

きっと深い歴史的背景のある歌なんでしょう。

I Am a Poor Wayfaring Stranger

というタイトルの直訳は「私は貧しい彷徨(さまよ)える人」。

アメリカの古い宗教歌のようです。

 

アメリカの歌をなんで英軍の兵士がうたっているのか。

そういえばスペイン風邪アメリカの参戦で

ヨーロッパに伝わったそうですね。

戦時中でイギリスもフランスもドイツも感染状況を秘匿したため、

中立国だったスペインの流行拡大だけが世界に喧伝され、

スペイン風邪命名されたそうです。

スペイン人にとっては迷惑な話です。

 

1917年といえば大正6年。

その翌年にぼくの母が生まれています。

そんなに遠い昔の話でもないのですね。