なぜかうちに「海辺のカフカ」の下巻だけがありました。
それも単行本と文庫の下巻がご丁寧にも1冊ずつ。
ぼくは買ってないので、息子の本だと思います。
もったいないのでブックオフで文庫の上巻を
買って読みました。
(400円もした!)
これ10年以上前に出たんですよね(発表は2002年)。
村上春樹というと難解で退屈、
なんで世界が絶賛するんだろう、
という、ぼくのなかでの思い込みがあったのですけれど、
予想に反して面白かったです。
具体的な地名や実在の商品名が登場するのも意外でした。
スティーブン・キングなんかでは当たり前ですけど、
日本の小説ではあんまりないないなあと思っていました。
セックスについても、けっこう執拗に描かれます。
いつもクールでシュッとしてるというイメージが覆されました。
次どうなるんだろうというワクワク感があって、
毎晩読むのが楽しみでした。
読み終えてちょっとさびしく思います。
内容については、ぼくの力ではまとめきれません。
ラストまでくると、これはどういう意味だろう、
なにが言いたいのか……などと疑問がいっぱいわいてきます。
「ことばで説明してもそこにあるものを
正しく伝えることはできないから。
本当の答えというのは
ことばにはできないものだから」
という主人公の言葉に納得するしかありません。
「海辺のカフカ」というのは小説に登場する架空の曲のタイトルです。
「佐伯さん」という50代の女性が10代だったころに作詞作曲して、
ピアノの弾き語りをして大ヒットしたという設定になっています。
これ、五輪真弓の「少女」がモデルかなと思ったんですけど、
どうなんでしょう。
村上春樹作品にはジャズ、クラシック、ロック、オペラ、スタンダードなど、
いろんな音楽が登場します。
こうやってまとめてる人がいるんですね。
murakamiharuki-music.jimdofree.com
いちばん聴きたくなったのは、
“百万ドルトリオ”演奏のベートーヴェン『大公トリオ』という曲。
優美なメロディとスケール感に溢れた“ピアノ三重奏曲の最高傑作”
という評価もあるとかで。
作中ではクラシックなんて聴いたことのないトラックの運ちゃんが
なぜかこの曲に心を奪われてしまいます。
「海辺のカフカ」発売当時、CDショップに
『大公トリオ』の特設コーナーができたといいますからすごいですね。
以上、いまさらながらの「海辺のカフカ」でした。
そうそう、ひとつだけ断言できることがありました。
ぼくは「海辺のカフカ」の登場人物たちとは、
絶対に友だちにはなれないということ。
ほんとぼくにはご縁のない方たちばかり。
話も合いそうにありません。
とくに主人公。