ワクワクします。
剣豪小説でもあり、
ミステリーでもあります。
弟子が離れ、落ちぶれはてた武蔵に、
「家康に呪いをかけた者」を、
探索するミッションが与えられます。
孤剣の涯て
満場一致の「本屋が選ぶ時代小説大賞」受賞作!
ですって。
この中に血天井が出てきます。
立てこもった徳川の家来、鳥居元忠は降伏を拒み、
全員が討ち死にし、館の床は血で真っ赤に染まります。
家康は、鳥居家の忠勇を悼み、
この血濡れの床板を京の各地の寺の天井板にして
菩提を弔うよう命じたということです。
これを読むまで知らなかったんですけど、
血天井って何か所もあったんですね。
正伝寺、妙心寺、源光庵、神應寺、養源院、宝泉院。
鬼門の方角には、大原の宝泉院がある。
神應寺のある石清水八幡宮は、都の裏鬼門。
ということで、家康は
鬼門と裏鬼門に、血天井を配置して、
京都の守りとしたのか……なんて書いてあって、
へ~~~~~と思いました。
6か所も血天井のお寺があるんですから、
京都・血天井六ケ寺巡り
ってツアー、どうでしょうねえ。
忠臣たちの血色の手形を御朱印帳に押してもらいます。
ぼくは行かないですけど。
あと興味深かったのが、戦場で起こる
味方崩れという現象です。
戦わずして軍勢が崩壊することを“崩れ”という。
味方崩れと裏崩れのふたつがあり、
味方崩れは敗走した味方に巻き込まれ崩壊すること。
裏崩れは味方の裏切りや雑説などにより内側から軍が瓦解することだ。
ということで、味方崩れは恐いようです。
関ヶ原の合戦も裏切りによって裏崩れが起き、
その敗走兵が味方に殺到して味方崩れが発生したそうです。
無事だったのは島津家だけで、
殺到した味方に容赦なく矢玉を浴びせたからだといわれている。
小説の中の武蔵は大坂の陣で味方崩れに巻き込まれ、
味方である藤堂家の陣に向かってしまいます。
このため味方からさんざんに矢を射かけられます。
手傷を負って痛いけれど、なぜか致命傷にはなりません。
藤堂家の軍法では、味方崩れには矢尻のない矢で応ずるということか。
と武蔵は気づきます。
とっさに矢尻を外して矢を射るなんてできるもんでしょうか。
それにしても合戦シーンのリアルなこと。
武蔵の強いこと。
「本屋が選ぶ時代小説大賞」、
読みたくなりますよ。