うめはらなかせの日記みたいな掲示板2

アコースティックギターの前にすべての曲は平等である

サトウ・ハチローがすごいとわかった恋兎

先週、読み終えたのがこれ。

天才詩人の破天荒な愛と性を描く問題小説。

「恋兎 令子と金子光晴

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なんで買ったのかは覚えてませんが、

そういえば若い頃に金子光晴の映画を観ました。

演じたのは中村嘉葎雄と関根惠子。

「ラブレター」という映画です。

詩人・金子光晴と34歳年下の女性の、30年にも及んだ愛人生活に取材した

江森陽弘のノンフィクション作品『金子光晴のラブレター』が原作。

とアマゾンにありました。

日活ロマンポルノだったので、たぶん京一会館の4本立てで観たのでしょう。 

 和服姿の中村嘉葎雄がショートヘアの関根恵子に、

ウサギ

と呼びかけていました。

だから「恋兎」 なんですね。

この本が原作だったらもっとすごいポルノになったと思います。

 

金子光晴とその妻・令子、そして愛人の森三千代。

この三角関係で、妻の座は何度か入れ替わります。

まったくもって赤裸々な性描写で、その激しさにも驚きますが、

籍を抜いたり入れたり、昔(といっても戦後の昭和)は

そんなことが簡単にできたのと驚きます。

 

愛しあふことは殺戮だ。革命だ。

と帯にあります。

殺戮だったことはわかりますが、

革命の意味はわかりませんでした。

金子光晴は文士の名に恥じない(?)ヤクザな生き方を貫きます。

60代70代の晩年になっても性愛と詩作や評論に入れ込む、

そのエネルギーの激しさに圧倒されます。

だからといって感動したとか、読んでよかったとか、

そんな感想は一切なくて、ただただ、

ああそうでしたかというしかありません。

妻(愛人)を狂気にまで追い込み、

妻(愛人)の実家の財産を勝手に売り払い、

妻(愛人)に二度も堕胎を迫り、

などなど、身勝手な行動に走る詩人に共感できるところは

なんにもないんです。

 

ただ34歳も年の離れた女性に愛されるというのは、

よほど魅力がある人物だったのでしょう。

そんなエピソードが次の引用で、

サトウ・ハチローについての記述もありました。

彼の話はいつも人の意表をつく。

東南アジアでは洗面器は食物のいれものにも便器にもなるとか、

サトウ・ハチローの魔羅は普段は二握り半、

いざ鎌倉というときは一尺を超えた、ほんとうですよ、

などと目を丸くしておどけてみせ、

コーヒーが出るころにはもうこの三人のきょうだいと

旧知のように打ちとけていた。