私事ですが、ぼくの家系は祖父の代から京都人です。
確認はできませんが、それ以前からも京都人だったと思います。
ちなみに祖父は大工でした。
土木技師だった父から聞いた話では、
祖父は丁寧な仕事ぶりから、
「上家(じょうや)のうめはら」
と呼ばれていて、
「上物の家をつくる」職人として
評判だったといいます。
そして祖父が建てた一般住宅が四条大橋のたもと、
いまは東華菜館のある場所にあったとのことです。
東華菜館は、かのヴォーリズが設計した名建築です。
ぼくも一度か二度、食事やビアガーデンに行ったことがあります。
あのロケーションと風格ある建物のわりには
リーズナブルなお値段だったと記憶しています。
セルフで扉を閉める古いエレベーターがユニークでしたね。
(いまも動いているのでしょうか)
東華菜館のホームページによると――
前身は、西洋料理店「矢尾政」。
大正の頃よりビアホールブームが始まっており、
大正13年、「矢尾政」二代目店主・浅井安次郎氏が
新しいビアレストランをイメージし、
その設計をウィリアム・メレル・ヴォーリズ氏に依頼。
大正15年に、このスパニッシュ・バロックの洋館が生まれました。
東華菜館を建てるにあたって、 祖父の建てた住宅は壊されたはずです。
しかし、父はそうではなかったというのです。
何十年も後になって、京都の北、上高野あたりを歩いていて、
まったく同じ家を見つけたと父は言います。
これはあの四条大橋の家を
そのまま移築したものに違いない
と父は推理するのですが、真相はわからずじまい。
果たして名建築でもないフツーの家を解体して、
わざわざ上高野まで運んで再建などしたのでしょうか。
父が存命中に朝日放送の「探偵ナイトスクープ」に
調べてもらいたかったですねえ。
残念ながら、写真ひとつ残ってないので、無理なんですけれど。