うめはらなかせの日記みたいな掲示板2

アコースティックギターの前にすべての曲は平等である

湿地女の一生~ザリガニって鳴く?

全世界で累計1500万部を売り上げた

同名ミステリー小説を映画化。

という触れ込みの映画です。

ザリガニの鳴くところ 

(Where the Crawdads Sing)

www.youtube.com

 

1950~60年代のアメリカ。

ノースカロライナ州の湿地帯で生まれ育った、

悲しい境遇の女の子の話です。

父親は酒飲みのDV男で、

妻をさんざん殴りつけます。

母はとうとう家を出て、

続いて兄や姉たちも全員、

ひとりで行動できる年齢になったら、

逃げ出していきます。

ひとり残されたのが主人公のカイア。

やがて父親までが家を出ていきます。

彼女が10歳のときでした。

 

カイアは湿地でムール貝を採って、

町でよろず屋を営む親切な黒人夫婦に

買い取ってもらうことで生き延びます。

湿地は唯一、カイアを守ってくれる城であり、

生活の糧であり、観察と称賛の対象でした。

一度は町に出て小学校に通おうとしますが、

みすぼらしいなりと裸足の彼女は、

「湿地の女」とさげすまれ、うとまれ、

好奇と軽蔑の目から逃げ出すしかありません。

 

やがてハイティーンになって

近くに暮らす少年と交流が始まり、

読み書きも教わり、

真の愛を知ったと確信しますが、

その彼にも捨てられ、

孤独のなかで生きることを決意します。

 

こうした彼女の生い立ちと、

ひとりの青年の不審死をめぐる裁判とが交互に描かれます。

変死体となって発見された青年を殺したのは

カイアだとして訴追を受けるのです。

はたして裁判の行方は……、

青年の死は事故なのか、他殺なのか、

真相はどこに?

過去と現在が交錯しつつ物語が進行します。

最後まで見ごたえのあるドラマでした。

アマゾンプライムでやってます)

主題歌をテイラー・スウィフトがうたってるのですね。

 

以下は主人公が最後に語るナレーションです。

 

移ろいゆく自然
その中にいられて満足だった
潮のように自然は私を導く
湿地は死を熟知し
死を悲劇と決めつけない
罪も見出さない
生きものたちの生き抜くための奮闘も知っている
そして時に弱者が強者を葬ることも

 

いまや私は湿地
シラサギの羽、 波に洗われる無数の貝殻、そして ホタル
湿地の深い闇へと光であなたを誘う
そこが私のいる場所
はるか遠く

ザリガニの鳴くところ 

 

ザリガニの鳴くところ 

(Where the Crawdads Sing)

このタイトルを見て、

え? ザリガニって鳴くん?

って思いますよね。

実は鳴くみたいです。

というか音を出す。

体の器官とかどこかからギギギと。

その小さな音が聞こえるほどの

湿地の奥深いところって意味でしょうか。

あるいは黄泉の国、あの世とか。

 

日本人は、「虫の音」を人の声と同様に

言語脳で聞いているので、

雑音として聞き流すことはできないといわれますが、

原題のCrawdads Sing、ザリガニがうたうという表現は、

日本人に近い感覚のように思えます。