こないだ紹介した「『サウンド・オブ・ミュージック』の秘密」
読み終えました。
”サウンド・オブ・ミュージック好き”にはたまらん本です。
このシーンはどこでどんなふうに撮影されたか、
この歌はほんとうはだれがうたっているのか、
あのときのあの表情はなにを意味するのか、
映画の名場面に登場する建物は現実に存在するのか、
……などなど、興味津々な「史実」が語られています。
読んでいて、
へーーーー!
と思ったことをいくつか引用しましょう。
その心理はよくわかる。
日本で撮られたアメリカ映画のなかで、
「サクラの歌」といったような架空の〈国民唱歌〉が
重要な機能を果たしていたなら、
私たちも不快感を抱くにちかいない。
「エーデルワイス」はロジャース&ハマースタインの最後の作品となった。
オスカー・ハマースタインは胃癌の手術後にこの歌詞を書き、
舞台や映画でこの歌がうたわれるのを聴くことなく亡くなったそうです。
「エーデルワイス」を弾き語ってない
歌声はビル・リーによる吹き替えである。
リーはたくみにアマチュア的に聞こえる抑えた歌い方をしているので、
吹き替えに気づかない観客も多いだろう。
当初、プラマーは自分が歌うことを前提として役を引き受け、
のちに説得を受けて歌唱およびギター演奏の吹き替えに同意したといわれる。
ピアノの弾き語りか得意で――少年のころはピアニストを目指していた――、
ザルツブルク滞在中も、毎晩ホテルで何時間もピアノに向かって
歌い続けていたというプラマーは、
はじめて弾くギターにもかなりの練習を積んで臨んだが、
その演奏も差し替えられることになってしまった。
せっかく練習に励んでたのに没にされて、
クリストファー・プラマーの心中やいかばかりか。
だけど歌まで吹き替えられるってねえ。
トランプ大佐は婚約者の7つ下
驚くのは、『サウンド・オブ・ミュージック』の撮影時に
(プラマーは)まだ三四歳だったことだ。
リーズル役のシャーミアン・カーは二一歳だったので、
〈父と長女〉は一三歳しかちがわなかったことになる。
二八歳だったジュリーとも六歳ちがいで、
実年齢でいえばまったく〈年齢差カップル〉ではなかったわけである。
歴史的整合性という点からいえば、プラマーは大佐役としては少し若すぎる。
なぜなら、第一次世界大戦の英雄であった大佐は、
映画で描かれる〈併合〉の時期には、
少なくとも五五歳ぐらいになっていたはずだからだ
――そしてプラマーは五五歳には見えにくい。
(婚約者のエルザ役のエレナー)パーカーは一九二二年六月生まれ、
撮影時に四一歳から四二歳になった。
つまりプラマーよりも七歳年上だったわけである。
『サウンド・オブ・ミュージック』が企画された時点では、
ジュリーもプラマーも映画界では名をなしておらず、
もっとも知名度の高いスターはパーカーだったのである。
クリストファー・プラマーが30代前半だったというのは意外でした。
プラマーは「アカデミー賞を逃している最後の大物」といわれ、
ジュリー・アンドリュースが最初の主演作で手にしたオスカーを、
ようやく半年後に獲得したそうです。
以上、そんなの知ってたよって人もおられるかもしれませんが、
だれかに話したくなること請け合いの「秘密」が、
いっぱい収録された新書でした。