職業柄、言葉の意味や語源に関心があります。
ついこのあいだピアノのことを調べていたら、
正式な名称はピアノフォルテ
だと百科事典に書いてありました。
日本大百科全書(ニッポニカ)の解説によると――
ピアノという名称の由来は、
この楽器の発明者とされるフィレンツェのクリストフォリ
について触れた記録で、
「ピアノ(小音)とフォルテ(大音)が出せるチェンバロ
gravicembalo col piano e forte(グラビはクラビの訛(なま)り)」
という表現が使われ、
以後も正式名称としてはピアノフォルテが一般的である。
なのだそうです。
17世紀のことですね。
クラヴィコードが弦をはじいて音を出していたのと違い、
ハンマーアクションで弦をたたいて音を出し、
音の強弱が出せるように工夫されているのが大きな特色でした。
横道にそれますが、ビートルズは、
「フォー・ノー・ワン」(アルバム『リボルバー』収録)で
クラヴィコードを使用している(ポール・マッカートニーによる演奏)。
とウィキペディアにありました。
ヤマハのHPには系統図が出ています。
カントリーで使われるダルシマーは
ピアノの遠縁関係にあるみたい。
ピアノの成り立ち:ピアノ誕生ストーリー - 楽器解体全書 - ヤマハ株式会社
ピアノより前の鍵盤楽器はクラヴィーアと総称されるようです。
あのモーツァルトが生まれた18世紀半ば頃はまだピアノが高価で、
生まれ故郷のザルツブルクでは、クラヴィーアを使っていたそうです。
しかし、より豊かな表現ができるピアノはあっと言う問に広まり、
モーツァルトもウィーンに移住してから、
ヴァルターという人気職人のつくったピアノを手に入れます。
軽やかで輪郭のはっきりした音色は彼の音楽にぴったりでした。
高価な楽器ですし、コンサートに楽器を運び入れて演奏するので、
ピアノ関係に費用もかかったでしょうね。
ベートーヴェンもこのヴァルター製ピアノを愛用していたといいます。
現在のピアノが88個の鍵盤をもつのに対し、
モーツァルトが生きた18世紀の後半は鍵盤の数は60~70個程度、
音域は5オクターブくらいでした。
今の楽器より軽いタッチで、まろやかな音色をもっていました。
ということで現在のピアノとは見た目も音もかなり違っていたようです。
ちなみにモーツァルトが生きた時代、
18世紀にピアノはフォルテピアノと呼ばれたんだそうで、
時代とともにフォルテからピアノに名前が変わってるんですね。
出現当時は力強く鳴ることが着目され、
その後は繊細な音が出せることが認識されたのでしょうか。
大から小へ、謙虚になっていかはったんですね。
出世魚という言葉があるけど、こういうのはなんていうんでしょう。
参照:「やさしく読める作曲家の物語」(ヤマハミュージックメディア)
「感動がいっぱい! 音楽の伝記」(ナツメ社)