あまりに気に入っているので、
ちびりちびり見ている録画番組があります。
ついにこないだその一つを見終わってしまいました。
令和元年版 怪談牡丹灯籠
これ、ぼくがいままで見たなかで最高の時代劇かも!
って思えるほどの傑作でした。
幕末から明治にかけて落語を芸術の域に高めた、
初代三遊亭圓朝の大作怪談を完全映像化した作品
だそうで、欲、色、愛憎が濃密にからまった、
人間の業をスタイリッシュに描きます。
映像が見事で、心理的印象を際立たせる絵、
たとえば蛇が水面をくねり進むカットが
挿入されていたりしてドキリとさせられます。
演技がまた見事。
役者を奮い立たせる脚本だったのでしょう。
人を斬りたい、斬ってみたいと
殺意に発情したかのような旗本を、
高嶋政宏が演じます。
ちょっと狂気がかった表情とか、うまいですねえ。
その旗本に取り入る女中のお国、
尾野真千子がまた魔性の女のすんごい色気を発散します。
単に色欲だけでない純な恋情を抱く女としても描かれていて、
悪女と上手に演じ分けています。
いちばん感じ入ったのは、旗本の娘、お露と新三郎の悲恋。
身分違いのかなわぬ恋に焦がれ死にしたお露の幽霊が、
夜な夜な新三郎を訪ねてきて、
蚊帳の中のねっちょりしたからみを見せてくれます。
お露を演じるのはあの上白石萌音。
ほれ、「恋はつづくよどこまでも」で
かわいらしいナース役だった、あの……。
まだ二十歳そこそこの彼女が、あ~んな大胆な抱擁シーンを!
それが、あ~た、新三郎役の中村七之助とディープな口づけを交わして、
唾液がたら~~んとブリッジ状になるところまで、
よくもまあNHKでこんなシーンが撮れましたねえ。
これ見てるだけで、高い受信料への怒りが一瞬鎮まりました。
殺陣に特殊メイク、美術、音楽……などなどどれもレベルは高く、
今後これ以上の時代劇が出てくるのかしらと思ったほどで、
プレミアムドラマと銘打つだけのことはありました。
そこへいくと、いまの大河に朝ドラ、どうしたん?
同じNHKがつくってんの? と思ってしまいます。