アイリッシュ・ミュージックが好きなんです。
それはケルト音楽と同じものだと思っていました。
ケルティック・ウーマンという、
アイルランド出身の女性グループもありましたし。
(このライブ、生で見てたら鳥肌もんですね)
妖精のアイルランド~「取り替え子」の文学史
(平凡社新書)って本を、いまペラペラめくってるんですが、
読んでびっくり。
最近の考古学研究で、
「ケルト」という概念が揺らいできたというのです。
かつてヨーロッパの中央部にいたケルト民族が海を渡り、
現代にケルト文化を伝えている、
というのがぼくの理解でした。
ところが、この本によると、
ブリテン諸島に大規模なケルト民族の流入はなかったのではないか
というのです。
エスニック・グループの概念は、近代において創出されたもの。
いわく、ケルトという言葉は、本来、わけのわからぬ言葉を話す人
17世紀まで自ら「ケルト」と名乗った民族はいなかった。
「大陸ケルト的」とされているイギリスの遺跡や発掘物を
検証しなおしてみると、ブリテン諸島に特徴的なものであることが多い……。
と、1999年に大英博物館で出版された
一般向け書物に書かれているそうです。
もう20年も前のことじゃないですか。
言語の問題でいうならば、ケルト語を話す人々は
「ケルト」語と名づけられたことには明快な根拠が見出せない。
また、非常に高い知的レベルの人々の間では、
間違いなく交流はあった。
しかし、それらの島のいずれかがケルト民族に
席巻されたことかあったかというと、
答えは残念ながらノーなのだ。
ということで、ぼくの知らないうちに、
これまでの常識が覆ってたわけです。
さらにさらに、
輸入アクセサリーのインターネットショップの経営者によれば、
21世紀を迎えた現在、彼女が仕入れに出向くスコットランドでは、
博物館だけでなく、街の看板や土産物屋からも
禁忌のごとく「ケルティック」という言葉が取り除かれているという。
それなら冒頭のケルティック・ウーマンはどうなったんでしょう。
木枯し紋次郎のように、
その後、一家は離散した
なんてことはないようですけど。
前奏のフィドル、一カ所、音下がり過ぎてません?