外国人のポートレート写真などで、
眼鏡のつるを口にくわえるポーズをときどき見かけます。
ぼくは50年以上眼鏡をかけてきましたが、
眼鏡のつるをくわえたことは一度もありません。
不衛生な感じがするというよりは、
眼鏡はくわえるものだと思ったことがないということです。
で、たまたまボブ・ディランのドキュメンタリー映画、
NO DIRECTION HOME:BOB DYLAN
を見ていたら、記者会見中にカメラマンから
眼鏡のつるをくわえてくれと
ディランが注文されるシーンがありました。
ディランはいやがって、
きみがくわえろよ
と言って眼鏡を渡します。
そしてそのカメラマンにくわえさせ、
ほかにくわえたい人は?
と聞きます。
これはヨーロッパツアー中での一幕なので、
ヨーロッパ人がそういうポーズを好むということなのでしょうか。
以上は11年前に書いた日記を元に書き直したもの。
最近(今年6月)のディランの話題としては、
新作「ラフ&ロウディ・ウェイズ」の収録曲、
「偽預言者」がパクリだという話がありました。
1954年に、R&B歌手ビリー”ザ・キッド”エマーソンが、
発表したブルース「イフ・ラビン・イズ・ビリービン」を
パクっているというのです。
キーもコード進行もギターリフもほとんど同じで、
歌詞は違う(当たり前か)。
萩原健太という音楽評論家がコラムに書いていました。
ディランはパクリの常習者だと。
代表作「風に吹かれて」も旋律の元ネタは奴隷の競り市を題材にした
19世紀の霊歌「競売はたくさんだ」だといいます。
あの曲は10分で書いた。
たぶんカーター・ファミリーのレコードで覚えた古い曲に
新しい歌詞を乗せた。
それがフォーク音楽の伝統だ。
先人が手渡してくれたものを使うんだ。
とディラン自身が語っているそうです。
これを読んで、オートハープ界の大御所にして京都フォークのレジェンド、
クリさんが自作をオリジナルとおっしゃる意味がわかってきました。
クリさんはフォークの伝統の実践者なんですねえ。
さすがです。
というわけでディランのパクリのレベル、
興味のある方は聴き比べてみてください。
Bob Dylan - False Prophet(偽預言者)
Billy "The Kid" Emerson - If Lovin' Is Believing