すみません、またまた読書感想です。
なかせさんの花の写真のほうがよっぽど人気があるんですけどね。
ぼくにはほかにネタもなくて。
それに1日30分で、けっこう読めます。
数日前に読み終えたのが隆慶一郎(りゅう・けいいちろう)のこれ。
「かぶいて候」
だれに教えてもらったかもう忘れましたが、
読んだときの衝撃はすごかったです。
こんな面白い時代小説があったのかと。
61歳になって初めて書いた小説なんですよね。
それも驚きでした。
若いころSF好きのぼくは半村良の「妖星伝」にはまってまして、
それと同種の面白さを感じました。
伝奇小説の面白さなんでしょう。
ただぼくが「吉原御免状」を読んだときはすでに著者は亡くなっていて、
もう新作は読めないんだというさびしさとともに、
「鬼麿斬人剣」などを惜しみつつ読んでいました。
そして今回の「かぶいて候」 。
なんでか買ったまま読んでませんでした。
1990年という非常に忙しかった時期に買ったからかも。
三代将軍家光誕生あたりの物語です。
家光の弟の忠長を次期将軍に据えるべく、
家光に刺客を放ちます(ここは創作?)。
ちなみにお江与の方は、夫の秀忠が侍女をはらませてできた子を、
灸をあてて殺しています(たぶん史実?)。
妻の恐ろしい気性を知った秀忠は、次に側室に生ませた子を
他家に出して、お江与の方の魔の手から守ります。
それが四代将軍を補佐した甲府宰相、保科正之とのこと(これは史実)。
「かぶいて候」で、家光暗殺を阻止するのが、
家光の小姓だった主人公の水野成貞です。
この成貞は小太刀(大脇差)と手裏剣の名手で、
(小姓は脇差しか持てないんですね)
その剣劇場面のすごいことすごいこと。
とまあ、書いてるとまた長くなるので、このへんにしときます。
「かぶいて候」、本来は続編が書かれる予定なのが、
ほかの作品と同様、未完で終わっています。
本当に残念。
タイトルは、合戦のなくなった時代に若い武士たちが、
ど派手な衣装を着て、乱暴狼藉を働くなど、
常識を逸脱した行動に走る、
あの「かぶく」から来ています。