うめはらなかせの日記みたいな掲示板2

アコースティックギターの前にすべての曲は平等である

歴史の謎 文明の謎はナゾのまま

元日の夜に読み終えたのが、これ。

歴史の謎 文明の謎

40年ほど本棚に眠ったままだったのを、

ようやくいまになって読み終えました。

ようこんな硬い本を買うたなあ。

1977年に出た本です。

歴史学の分野でも40年もたてば

謎が謎でなくなってるかもしれません。

 

副題は「森本哲郎歴史対談集」。

森本哲郎は世界中を旅していた博覧強記の評論家ですね。

対談集ということで、何人かの専門家に、

森本哲郎が疑問や意見をぶつけるというスタイルです。

タイトルからは謎とその解明に興味惹かれますが、

謎は提示されても謎のまま終わることが多いです。

 

たとえば石と木の問題。

ヨーロッパでは森が多いのに木造建築が主流になっていない。

彼らは木よりもレンガないし石をいつも考えている。

ということです。

ここでいう建築は城、宮殿、寺院ということでしょう。

一方で、日本には石を使うという発想が全然ない。

(石垣はあったんですけど、そこには触れていません)

日本はアジアだから石造建築がないというのではなく、

同じアジアでもアンコールワットなどは石造りで、

かなり遠方から巨石を運ぶ道をつくってまで建築しています。

ということで、日本だけが異質だというのです。

 

もうひとつは車の問題。

日本ではなぜ馬車が利用されなかったのか。

道が悪かったんだろうといわらるけれど、いまだによくわからない。

(大八車には触れていません)

平安時代にあった牛車はなぜ徳川時代になくなったか。

それは去勢術が日本では忘れられてしまったから、

という説明は出てきますが、はっきりしません。


面白かったのは、イギリスには去勢された牛と、

そうでない牛とは名前が違うそうで、

ふつうに雄牛のことをブルといい、

去勢された牛をオックスというんですって。

ところが日本には去勢された牛と去勢されない牛との区別がない。

では、平安時代に使った牛車は、

去勢されないままの牛が使われていたのか。
やっぱり結論はありませんでした。

 

こんなふうにして謎は出されるのですが、

いろんな例外については触れられないので、

読んでいてフラストレーションがたまります。

専門家同士の対談集なので互いの了解事項は口にされず、

素人読者はおいてけぼりになります。

編集者の怠慢といわずしてなんでありましょう。

 

でも、ものの見方、目のつけどころにはへーーっ、

と思わせられることもあります。

ヨーロッパの修道院では、ローソクが一晩三本分という勘定をしたそうです。

だけど日本には、ローソクで時間を計るという思想はなかったという指摘。

ただし、日本の花街では線香で時間を計っていて、
線香一本の間いたか、二本、三本の間いたか、

それで揚げ代を計算するということです。

ほほーーーぅ。

 

40数年たって、こうした謎にもう現代の答えは出ているのかも。

それをネットで調べるのもしんどいのでやめときます。