うめはらなかせの日記みたいな掲示板2

アコースティックギターの前にすべての曲は平等である

文明が衰亡するとき男は嫁をもらわない

スペインに2ー1で歴史的逆転勝利!

ってことで、まことに素晴らしい。

「歴史的」って形容詞がやたら多くて気になりますけど。

 

昔、朝日放送で日曜の朝、

サンデープロジェクト

って報道番組がありました。

島田紳助が司会、田原総一朗が討論を仕切っていて、

そのときに現代の黄門さまよろしく、

ご意見番として出ていたのが、この本の著者、

政治学者の高坂正堯です。

京都弁の辛口コメントが気持ちよかったです。

享年62歳はいかにも早すぎて惜しいです。

 

ローマ帝国ヴェネチアはなぜどのように衰退していったのか、

アメリカはなぜなにに苦悩しているのか、

日本は国際競争下でどう生きるべきか、

読んでる間は面白かったけど、

読み終えて1か月たってないのに、

すでに内容は忘却の彼方です。

 

面白かったのはヴェネチアが衰退する理由の一つに、

人々の活力の低下があって、それは結婚したくない男性が

増えたことからも見て取れるという指摘でした。

冒険を避け、過去の蓄積によって生活を享受しようという

消極的な生活態度は、ヴェネツィア人の貴族の男子で結婚しない人が

増えたことに現われていると言えるであろう。

十六世紀に適齢期の男で結婚しないものは

すでに半ばに達していたが、十七世紀にはその比率は

六〇パーセントへとさらに上昇したのである。

それは経済が発展を止め、あるいは収縮するなかで、

生活水準を維持したいという気持から、

子孫を増やしたくないということになったためであると考えられる。

こうした態度と、リスクの大きな通商を避け、

安定した土地からの収入に頼るという態度とが関連していることは明白である。

 

意外だったのはオランダはヨーロッパで嫌われる国だったということ。

実際、通商国家という存在は、

他人に害を与えることが少ないのに嫌われるところがある。

ヴェネツィアもオランダも好かれなかった。

オランダのように小さく、それ故他国に大きな脅威を与えるはずがなく、

しかも秀れた技術によってヨーロッパの人々の生活に

寄与するところが少なくなかった国が、

十七世紀の中葉にヨーロッパの各国から嫌われた状況は

少々理解に苦しむところさえある。

商売人は便利がられても尊敬されないってことでしょうか。

日本が湾岸戦争に1兆円も出したのに

評価されなかったのを思い出します。

 

最後に、ぼくがこの本で最も驚いたことを発表しましょう。

裏表紙の見返しに著者の近影とプロフィールがあるのは普通ですが、

そこになんと、

著者のリアル住所が記載されていた!

のです。

昔って、個人情報出しまくりだったんですねえ。