うめはらなかせの日記みたいな掲示板2

アコースティックギターの前にすべての曲は平等である

くノ一の10の穴

久しぶりに半村良の伝奇小説を読んでるような、

ワクワクする気分で楽しみました。

乾緑郎「忍び外伝」。

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第二回朝日時代小説大賞を受賞した作品です。

(第一回は受賞作なし)

「表現力も抜群ならば、文章も秀逸」(児玉清

「思わずソクリとする伝奇的設定」(縄田一男

「筆力・構成力は、尋常ではない」(山本一力

と選考委員が絶賛しているというので手に取ったら、

期待通りの傑作でした。

 

織田信長が伊賀を滅ぼした天正伊賀の乱

本能寺の変、その200年前の足利義満の死など

歴史的事件がするするするっとつながっていって、

時空を超えた大団円、ああ、こりゃこりゃ。

めくるめく読書の快感がありました。

 

いくつか言葉の解説で面白いなと思いました。

「忍」という字は、刃と心の二字を以て一字を成す。
忍びを忍びたらしめているのは、この二つである。
伊賀を出て行く者が捨てるのは、

技を意味する「刃」の方ではなく、

その思想信条を意味する「心」の方だ。

いまでいうと仕事人が持つべきスキルとパッションでしょうか。

どんなにスキルがあってもやる気がなければなんにもできません。

人間には刃と心が必要ってことですね。

とくに専門職種はこのスキルへの誇りが高いだけに、

心を忘れがちってことの戒めもあるのでしょうか。

 

本来、「くノ一とは、「九ノー」のことである。

目が二つ、鼻が二つ、耳が二つ、口、臍、肛門の、

人体の九個所の穴に、女の場合はもう一つ穴が加わる、

という意味で、古くから女を示す隠語として使われてきた。

これが転化し、伊賀では三字を一字として女の忍びをくノーと呼ぶ。

へーーー、忍びでなくても女はすべからくくノ一なんですねえ。