時代は変わった
としょっちゅう思わせられる今日この頃。
全裸の赤ちゃんが30年後に「性的搾取」主張
バンド・ニルヴァーナを訴える
という日刊スポーツの記事がありました。
アメリカのロックバンド、ニルヴァーナが1991年に発表して、
世界的ヒットとなったアルバム「ネヴァーマインド」。
これ、世界で4000万枚を売り上げたそうで、
だけど、バンドは1994年に事実上解散してるんですって。
プールの中を泳ぐ赤ちゃんのこのアルバムジャケットは、
ニルヴァーナになんの興味もないぼくでも知ってました。
ついこないだまで羊水のなかにいたから、
生後間もない赤ちゃんって、
こんなふうにどっぷり潜っても大丈夫なんですね。
で、この赤ちゃんだった男性が、30年後になって、
「性的搾取」を主張してバンドを訴えているんですって。
記事によると――
男の子は全裸で、性器も写っている。
現在30歳のエルデン氏は、彼の両親がアルバムで
彼の画像使用を許可するリリースに署名したことは一度もないと主張。
また、ヌード画像が児童ポルノであると訴えている。
えええ! これって児童ポルノ?
っていうのが素直な感想でした。
赤ちゃんの全裸写真がポルノになるなんて。
とぼくが驚くのも当然で、実際にアメリカの法律でも、
乳幼児の性的対象外の写真はふつうは、
児童ポルノとは見なされないそうです。
ところが、エルデン氏の弁護士は、
赤ちゃんの目の前にドル紙幣があることで、
未成年者が「セックスワーカーのように」見える
と主張しているそうです。
そりゃ、こじつけってもんじゃないでしょうか。
30年も前の、自分が赤ちゃんだったときの写真が
児童ポルノだと、いまさら訴えるなんて、
とぼくはついつい思ってしまうんですが、
いまの時代の「正しい議論のあり方」は違うようです。
「アーティストのアルバムのジャケットとして、
たとえ両親の許可があったとしても、
自分が意思決定/表示できない年齢であったにもかかわらず
全裸の写真を勝手に使用されたことが性的搾取にあたるか否か」、
そしてその性的搾取によって
「生涯にわたる損害を受けたとみなされるかどうか」である
というところを問題にしないといけないんだそうです。
たしかにこの赤ちゃんが自分の意思で
写真使用に許可を出したとは思えません。
勝手に自分の恥ずかしい姿をさらされて、
そのことで30年後、じわじわと屈辱感や喪失感がわいてきた
と本人がいうならそういうこともあるのでしょう。
虐待や性的被害、DVを受けていた人が、
「自分が被害を受けていた」と自覚するまでに
長い時間がかかることは決して珍しいことではないようです。
だから30年後の主張を一笑に付すことなく、
そういうこともあるのかもしれないなあ、気の毒だなあと
受け止めないといけないのですねえ。
大坂なおみの記者会見拒否問題も、
そんなのプロの義務でしょって思う前に、
そのことでどれだけ精神的につらかったんだろう、
ということに思いをいたし、
そういう人に精神的苦痛を甘受するよう求めることが、
はたして本当に正しいことなんだろうかと、
疑わないといけないってことなんです。
苦痛を感じているという人たちに対して共感と理解を示すこと、
それがいまの時代の常識になりつつあるんですねえ。
いまみたいな人の気持ちに沿うようなやさしい時代ではなく、
がさつな時代に生まれ育った人間は、
なかなか新しい常識になじめません。
ぼくは金メダルをかじった河村市長のこと、
よう非難しないんです。
ぼくもいちびり精神で、ついあんなしょうもことを
やってしまいそうですもん。
老人は時代の変化についていくのに遅れがちです。
時代は変わるちゃん遅くなってごめんね
(それ、かおるちゃんやん!「花はおそかった」のかおるちゃんやん!)。