うめはらなかせの日記みたいな掲示板2

アコースティックギターの前にすべての曲は平等である

あと一歩か二歩の新聞記者

アマゾンプライムで映画「新聞記者」を見ました。

日本アカデミー賞授賞式で、主演のシム・ウンギョンが

最優秀主演女優賞を受賞するのを見て、

ぜひ映画が観てみたいと思ってたんです。

この女優さん、好きなんですよねえ。

ひたむきな人間性を感じるというか。

 

映画の概要はこちらです。

eiga.com

 

正直にいうとこの程度のリアリティでいいのかしら

と思うような設定や場面が随所にあって、

サスペンスもさして盛り上がらず、映画としてはいま一歩でした。

 

加計学園グループ獣医学部新設計画をめぐる問題、

森友学園への国有地売却を巡る財務省決裁文書の公文書の改ざん問題、

性暴力の被害に遭ったことを公表した女性ジャーナリストの問題、

などがベースにあるのは間違いありません。

そういう政権のいやがるテーマを正面から取り上げたことで、

衝撃の問題作のように絶賛されていましたが、

単にそうした問題の表層をなぞっただけの、

政権にとっては痛くもかゆくもないフィクションだと感じました。

それはぼくの観方が至らなかったせいかもしれませんが。

 

ぼくがいちばん知りたかったのが、

自殺にまで追い込まれた官僚の精神状態です。

組織のなかで理不尽にも隠ぺい工作の片棒を担がされて、

さまざまな葛藤があるのは理解できるのですが、

そこから死を選ぶまでには大きな飛躍があります。

もちろんそれまでに精神がとことん擦り切れて消耗して、

正常な判断ができなくなってしまう可能性は想像できます。

それでも家族を残して死を選ぶというのはよほどのことで、

その前にどうにかならなかったのだろうか、

「修正に抵抗した」のならなぜすべてを公にできなかったのか、

悲劇を回避する道はなかったのだろうかと考えさせられます。

残念ながらこの映画でその答えは得られませんでした。

 

よかったのはシム・ウンギョンの演技と彼女の役の設定です。

父親が日本人ジャーナリストで母親は韓国人の、

アメリカで生まれ育った帰国子女ということなら、

たどたどしい日本語もさほど不自然ではありません。

相手役の松坂桃李もいいのですが、NHK土曜ドラマ

「今ここにある危機とぼくの好感度について」

の役柄とダブってしまいました。

 

もうひとつよかったのはエンディングで流れる主題歌です。

OAU(OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND:オーエーユー)というのは、

日本のアコースティック・バンドのようです。

 

OAU「Where have you gone」映画『新聞記者』主題歌

www.youtube.com

 

それからもう一本。

期待せずに見てすごくよかったのが、

同じく韓国系俳優が出演する、これ。

たまたま深夜にやっていたので録画してたのを見て、

めっぽう面白かったです。

ドラマがほとんどパソコン画面上で進行するというアイデアが秀逸。

ストーリーは一転、二転、三転……、

ネタバレになるのでこれ以上書けませんが、おすすめです。

bd-dvd.sonypictures.jp