うめはらなかせの日記みたいな掲示板2

アコースティックギターの前にすべての曲は平等である

悲惨な戦争の数字

毎年8月になるとテレビでは終戦特番みたいなかたちで、

戦争関係の映画・ドラマ・ドキュメンタリーが放映されます。

最近はめっきり減った気がします。

戦後76年ですか。

てことで読書感想、この本です。

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第二次大戦といえば、バトル・オブ・ブリテンか、

ノルマンジー上陸作戦をふつうは思い浮かべます。

だけど、それは大戦のほんの短い期間の出来事です。

バトル・オブ・ブリテンはドイツ軍の空襲から英国本土を守る戦いで、

子どもの頃に見た「コンバット」は、ノルマンジー上陸から

パリ解放までのわずかな期間のエピソードだったと思います。

 

ところがこのまず独ソ戦は、

1941年から1945年まで続きました。

まさに第二次世界大戦の核心、主戦場であった

と著者は述べています。

戦場となったのは――

北はフィンランドから南はコーカサスまで、

数千キロにわたる戦線において、数百万の大軍が激突した。

 

これを日本であてはめると、いびつな形になるけど、

東が東京、西が奈良県南部、北が金沢の西北西300キロの海中、

南が横浜市静岡市などを含む広大な地域でした。

 

この戦いでどれほど多くの人命が失われたのか。

長くなりますが、引用します。

 

1939年の時点で、日本の総人口は約7138万人であった。

ここから動員された戦闘員のうち、

210万ないし230万名が死亡している。

さらに、非戦闘員の死者は55万ないし80万人と推計されている。

充分に悲惨な数字だ。

 

けれども、独ソ両国、なかんずくソ連の損害は桁がちがう。

ソ連は1939年の段階で、1億8879万3000人の人口を有していたが、

第二次世界大戦で戦闘員866万8000ないし1140万名を失ったという。

軍事行動やジェノサイドによる民間人の死者は450万ないし1000万人、

ほかに疫病や飢餓により、800万から900万人の民間人が死亡した。

死者の総数は、冷戦時代には、

国力低下のイメージを与えてはならないとの配慮から、

公式の数字として2000万人とされていた。

しかし、ソ連が崩壊し、より正確な統計が取られるようになってから

上方修正され、現在では2700万人が失われたとされている。

 

対するドイツも、1939年の総人口6930万人から、

戦闘員444万ないし531万8000名を死なせ、

民間人の被害も150万ないし300万人におよぶと推計されている

(ただし、この数字は独ソ戦の損害のみならず、他の戦線でのそれも含む)。


このように、戦闘のみならず、ジェノサイド、収奪、捕虜虐殺が

繰り広げられたのである。

人類史上最大の惨戦といっても過言ではあるまい。

 

上の最大見積もりの数字をカウントすると、3国の死者数は、こうなります。

ソ連…… 2700万人

ドイツ…… 830万人

日本……  310万人

ちょっと言葉を失います。

ソ連が悲惨なのは間違いないけど、

ドイツは日本より人口が少なかったのに、

日本の2.5倍の人が亡くなっています。

日本について「 充分に悲惨な数字だ」とした上で、

独ソの数字を示す著者の意図するところがわかります。

なぜこれだけ多くの人が亡くなったのか。

という問題意識がわかないはずはありません。

 

この本を読んでいてほかにも興味深いことはいっぱいあったのですが、

ここまで紹介しただけでお腹いっぱいな感じですよね。

なので、今日はこのへんで。