うめはらなかせの日記みたいな掲示板2

アコースティックギターの前にすべての曲は平等である

スリム佐藤、夙川でマーティ・ロビンスをうたう(2)

スリム佐藤さんCD発売記念ライブ、続きです。

とんでもなく長くなってすみません!

umeharanakase.hatenablog.com

 

ぼくらがふだん聴いているアマチュアライブと違って、

プロミュージシャンのライブでした。

リードギターは、日本のブラディ・マーティン、荻野信彦さん。
ベースは、
佐藤さんのCDのエンジニアで、

すべての音源をコンピュータでつくられたチャーリー谷口さん。
ドラムスは、富田隆志さん。

エレキギターエレキベース、ドラムスの3人で

音楽が完成してるところにもってきて、

歌のうまいスリムさんなので、

それはめっちゃんこ聴きやすかったですね。

2017年に西宮フォートワースにスリムさんがゲスト出演されたとき、

たまたまベースを弾いていたチャーリー谷口さんが、

CDをつくってみませんか? と声をかけられたそうです。

そういうご縁があってのいまなんですね。

 

佐藤さん、歌だけじゃなく笑いを取るMCはお手の物で、

昭和なオヤジギャグで、女性客を沸かせてはりました。

ギャグはこれからも使いまわししはるやろし、ここでは紹介しませんね。

でも芸名の由来は初めて聞いたので書いておきます。

佐藤さん、昔、5000トン級の船に乗って、

観光ガイドの仕事をしたはったそうです。

小さな船でエンターテインメントがないので、

佐藤さんがギターを弾いてうたってたら、

ネージャーから、お前(お客さんの前で?)やってみるか

と勧められたそうです。

そのときにレクチャラーというおじいさんがいて、

お前、歌うまいやんけ、わしが芸名をつけたると。

会話はすべて英語です。

で、芸名候補が2つで、1つがスリム・サトウでした。

で、2つ目がデーブ・サトウ。

それは見たまんまやんけと却下したそうです。

若い頃からいまの見た目だったってことですね。

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1部はカントリーのスタンダードの曲を中心に、

2部は佐藤さんが敬愛するマーティ・ロビンスの曲を中心に演奏されました。

 

 第1セット

Folsom Prison Blues

ジョニー・キャッシュが監獄でライブをして、囚人たちが泣いて喜んだという曲です。

「ハロー・アイム・ジョニー・キャッシュ」で歌が始まるので、

佐藤さんも「ハロー・アイム・スリム・サトウと発しられたそうです。

(聞いてなかった。なんせ発音が英語そのものなので)
Me And Bobby McGee

クリス・クリストファーソンの歌です。

自由とは失うものがなにもないことという歌詞が出てくるそう。
Sing Me Back Home

超偉大なカントリーシンガー、マール・ハガードの歌。

生まれた日と死んだ日が同じなんですって。

若い頃はやんちゃで刑務所に入ったこともあるとか。

これも死刑囚の歌でした。
Miss The Mississippi And You

初めてぼくの知ってる歌が出てきました。

カントリーの父といわれるジミー・ロジャースの望郷の歌です。

ぼくはエミルー・ハリスのアルバムで聴きました。

いいメロディーです。

最後にスリムさんのヨーデルが、男の色気を醸し出してました。

Soft Rain

レイ・プライスというとっても歌のうまい人の名曲に

「無謀にも挑戦」したとおっしゃってます。

オリジナルを知らないから、十分以上でした。
All My Ex’s Live In Texas

海外旅行の添乗員をしていた頃の佐藤さんの楽しみは、

移動中、旅客機のイヤホンで聴くカントリー専門チャンネルでした。

そこで流れてたのがこのジョージ・ストレイトの曲だったそうで。

Ex’sって3文字で「元嫁たち」って意味なんですね。

英語って便利。
Pearly Shells

ぼくも知ってる歌、やっと2曲目です。

カントリーじゃなくてハワイアンですから。

歌手で映画俳優でもあるバール・アイブスの歌。

知ってます、この顔は。

「大いなる西部」でアカデミー助演男優賞を受賞してます。

エデンの東」にも出てますね。

歌手もやってたとは知りませんでした。
My Melancholy Baby

「今日のいちばんの難曲」とおっしゃってたジャズの曲です。

荻野さんはエレキギターをガットに持ち替えて演奏されました。

ドラムスもブラシでした。
I Love You Because

急きょプログラムになかった2曲を追加されたそう。

結婚式でこの歌をうたっているカントリーファンは多いとか。

「あなたがあなただから好き」と佐藤さんは奥さんに何度も言うてるとか。

(ほんまか)
You Win Again

ハンク・ウィリアムズの伝記映画は2作あるそうで、

1作目はジョージ・ハミルトン4世が主演。

で、2作目「アイ・ソー・ザ・ライト」でハンクを演じた

イギリス人俳優のトム・ヒドルストン

自分でも歌をうたっているそうです。

この人、テレビドラマ「ナイト・マネジャー」の主役ですね。

二枚目です(このときのお相手の女優さんがめっぽう美人で)。

トム・ヒドルストンは映画「アベンジャーズ」で

マイティー・フォーの弟、ロキ役をやってる俳優で、

若い女性に「ロキ様」と大人気だそう。

これで歌もうまいって世の中不平等です。

 

第2セット

ここからがやっとマーティ・ロビンスの歌。

すなわち佐藤さんのCDの収録曲です。

Melba From Melbourne

 

佐藤さんのCDはカーオーディオで聴いているので、

この曲は耳なじみがあります。

オリジナルが収録されたアルバムタイトルは「RFD」で、

これはルーラル・フリー・デネリオの略。

アメリカには「農村地帯無料配達」という郵便のシステムがあったんだそうで。

へ~~~~~!
Hurt

エルヴィス・プレスリーカーティス・メイフィールドもうたってる、

しっとりとしたラブ・バラード。

黒人でもカントリーをやるんですね。

「ドゥ・ザ・ライトシングス」って映画で、

カントリー好きの黒人がばかにされるシーンがあったんですけど、

カーティス・メイフィールドはどうだったんでしょう。

「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」において第40位

ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100組のアーティスト」において第98位。

2011年、「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のギタリスト」において第34位。

1991年インプレッションズ名義、及び1999年にソロ名義で『ロックの殿堂』入り。

ウィキペディアにあります。

チャーリー・プライドというすごい黒人カントリーシンガーもいるそうです。

知らなかったなあ。

それはともかくこの曲は佐藤さんのCDの中でいちばん好きかも。

ギターも美しいです。
Singing The Blues

マーティは1950年代はじめロカビリー全盛期にプロデビューしたそうで、

ロカビリー調のこの曲が初めてのビルボード入りをt遂げたんだそうです。
Devil Woman

「嫁はんのことではありません」とおっしゃってました。

カリプソ風の曲なのでガットギターがぴったりでした。

 

ゲスト久保真理子さん3曲

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パッと見、女優の浅茅陽子みたいな妙齢の女性が

キラキラ光る上等そうなギターを抱えてステージに。

フォートワースでおなじみの歌姫と紹介されました。

くせのないいいお声で3曲うたわれました。

素直な歌唱で好印象でしたねえ。

カントリーだけでなくなんでもうたえそうな感じでした。

ギターの荻野さんがコーラスもされました。
Crazy Arms
Crying Time
Rose Garden

久保さんが佐藤さんのCDを30代前半のお嫁ちゃんに聞かせたら、

「まあ、ロマンチックな声」と喜んでたとおっしゃってました。

スリムさん、うれしそう。

それから「ガットギター最高ですよね」と荻野さんに声をかけられました。

(伴奏はエレキギターだったにもかかわらず)

すると荻野さんの打ち明け話。

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以前につけていたピックアップが高感度で、

単3電池を4本入れてもワンステージで切れるので、

演奏中に警告ランプが点灯するから恐くて使えなかったと。

それで電池のもちのいいピックアップに換えたそうです。

 

で、ピックと言えば佐藤さんの新兵器、山彦の8万円するやつ、

どんな音か期待してたんですが、使われていませんでした。

あとで訊いたら、

カントリー音楽に必要なリズムギターのシャリシャリする音が出ず、

バンドからダメ出しがあって急きょ別のピックアップを借用したとのこと。

そら残念でした。

 

ここから佐藤さん再登場。

Don’t Worry

マーティはビルボードナンバーワンを16~17本出しているそうで、

こちらは最大のヒット曲のひとつなのだそうです。

英語ではよく「最大の~~のひとつ」って言い方をしますが、

最大はひとつなんちゃうん? っていつもぼくはツッコんでしまいます。

間奏のギターでファズを再現したという話が面白くて、

それはまた別で書かせてもらいます。
Man Walks Among Us

初めて聴いた歌で、とても良かったです。

60年代の曲で、マーティの3枚目のアルバムに収録されています。

人間が歩いてるぞと動物たちが警戒しているという内容だそうで、

それにしては美しくムーディーなメロディ。

エコロジー思想の先駆けといえる曲です。

ギター弾きなかせの曲らしいですが、

ガットで難なく弾いておられるように見えました。
Smoking Cigarettes And Drinking Coffee Blues

失恋したらふつうはやけ酒をあおるわけですが、

この歌の主人公は下戸なのでコーヒーとタバコで憂さを晴らすとのこと。
Honkytonk Man

クリント・イーストウッド監督主演「センチメンタル・アドベンチャー」の主題歌。

肺病やみのカントリーシンガーをイーストウッドが演じます。

この映画が完成して封切られる前にマーティは亡くなったということで、

遺作といえます。

ほかにもマーティは映画の主題歌をうたっていて、

ゲイリー・クーパーの「縛り首の木」、

ジョン・ウエインの「アラモ」などがあるそうです。
You Gave Me A Mountain

人生のいろんな苦難を乗り越えてきたが、

最後の試練は乗り越えられそうにないという歌詞で、

北島三郎の「山」という歌に印象が似ているそう。

ぼくはどっちも知りません。

アンコール
El Paso

そして最後にまたCDから1曲。

 

いや~、おつかれさんです。

訊けば、ライブ当日は全曲をリハーサルでうたわれたそうで、

つまりはダブルヘッダーってことですね。

無茶しはるわー

だけど、この日まで事前の練習はまったくなしだったというのに驚きました。

 

いまうめなかは単独ライブを目指して、

ひーひーいうくらい練習してますけど、本番は失敗だらけ。

やっぱりプロは違うなあと感じいった佐藤さんのライブでした。