うめはらなかせの日記みたいな掲示板2

アコースティックギターの前にすべての曲は平等である

女は守るべきもの?

尻尾の先まであんこが詰まったたい焼きみたい。

最後の最後まで意表を突く展開で満足させてくれました。

さすがイギリスのBBC製作ドラマです。

ボディガード-守るべきもの-」

https://www.netflix.com/jp/title/80235864

これ、タイトルがあまりに平凡で観る気がわかなかったんですが、

主人公の警察官が偶然、自爆テロ犯のいる列車に乗り合わせるところから、

一気に引き込まれて目が離せなくなりました。

その後、タイトルのとおり、主人公は内務大臣の警護担当になって……

というストーリーです。

あらすじはこちらのサイトが詳しいです。 

ameblo.jp

 

ロンドンというと爆弾テロが頻発してただけに、

そのリアリティーや緊迫感がドラマとは思えないほどすごいのと、

警視庁と保安部の対立、首相と内務大臣との確執など、

政治ドラマをスリラーの要素に組み込んでいるところ、

さらに主人公デイビッドが元兵士(アフガン帰還兵)で、

危機に際して俊敏に果敢な行動をとる一方で、

戦場での痛手からPTSDによる心の脆さを抱えていて、

家族を愛しながらも夫婦生活は破綻している

という設定が物語に陰翳を与えています。

 

熟女の内務大臣との禁じられた関係、

暗殺犯がアフガン時代の戦友だった事実、

戦場体験に起因する自殺願望、

警察内で疑われる内通者の存在、

上司から下される内務大臣と保安部との会話の盗聴命令、

……とまあ、主人公は自分を偽らなくてはならないことが多すぎて

大変なストレスだろうと思います。

ぼくだったら四六時中お腹がシクシク痛んでそう。

 

いちばん印象的だったのは主人公の短いセリフでした。

演じるのはリチャード・マッデンといって、

ゲーム・オブ・スローンズ」のロブ・スターク役で名をはせた俳優です。

ブラッド・ピットとジェームス・ディーンを混ぜ合わせたみたいな、

端正なマスクで、口数少なく、

マム(ma'am)、イエス・マム(Yes, ma'am)

と答えるところ、女性ファンの母性本能をくすぐるに違いありません。

 

マムって目上の女性に使う言葉ですね。

そしてこのドラマで最も輝いていたのは

作者のジェンダー(社会的・文化的につくられる性別)

についての問題意識なんだと思います。

最後の最後にそれで強烈なパンチを食らうんです、男どもは(女もかな)。