若い頃はときどき「新譜ジャーナル」とか「ヤングギター」とか
音楽雑誌を買っていました。
好きな曲の歌詞とコードがお目当てです。
そんななかにチューリップというけったいな名前のバンドがあって、
「魔法の黄色い靴」が紹介されてたんです。
《シューズで見る箱根駅伝》ナイキ一強はどこまで続く? そしてついにアシックスが箱根路から消えた! | 文春オンライン
バンド名も歌のタイトルも少女趣味的な感じで、
なんじゃ、これ!
と当時、硬派だったぼくは反発したわけです。
(いまでこそ2曲もレパートリーにしてますけど)
おまけに「日本のビートルズになるんだ」みたいなことを
いけしゃあしゃあと発言してたので、ちゃんちゃらおかしいと、
「イエローサブマリン」の猿真似でタイトルに黄色を使っただけに違いないと、
鼻も引っかけないありさまでした。
ぼくが子どもの頃って黄色のイメージ、悪かったと思います。
精神病院のことを黄色い病院って呼んでませんでした?
あれはどういうワケでそう呼んでたのか。
「黄色い声」っていうのもその印象から来ているのか。
とにかく「黄色」「魔法の靴」って意味がわからない。
そしてあれから幾星霜。
このたび聴いてみました、「魔法の黄色い靴」。
はあああ、こういう歌だったのかと思いました。
相変わらず歌詞はようわかりません。
いまでいうならストーカーっぽい、病んだ若い男の妄想?
でもこの微妙なイントロのメロディー。
コードを写してみました。
1行目
カポ2で、最初ずっとコードがCなんですね。
不安になりそうなほどコードが変わらないんだけど、
メロディーの中にシックスとメジャーセブンの音が入っていて、
とっても美しいと思います。
うたっていると弦とハモれて気持ちいいです。
2行目
ぼくの靴は君を連れてくるよ
のところ、EからG♯に行くのも気持ちいい。
5行目
大きな海を
のところ、Aに転調するんです。
これがまた、メロディーが不思議な世界に連れてってくれる感じで、
面白い。
6行目
ぼくのちっちゃなちっちゃな
で、またCに戻って、ドシラソとベースラインが下りていくメロディーも、
中休みって感じで、上手な展開です。
盛り上がって、ここで静かになって、そしてサビに向けて
また盛り上がっていくメロディーとコーラス。
7行目
おー そうだよ
でまたAに転調して、1回目の「魔法の靴さ」のところは、
D→G→E なのに、2回目は F→E→A と変えてあって、
1回目は盛り上げて、2回目はマイナーに転調か
と思うくらい鎮めていく展開が見事です。
そこからCに戻ったときの間奏。
EからいきなりのCなんだけど、
これがまた不思議な宙に浮いてるようなメロディーで、
そこをアコースティックギターのカッチリしたストロークでリズムを刻んで、
妙に心地いいんですね。
なるほど、日本のビートルズって名乗ってもよかったかも!
と、いまになって納得しました。
ウィキペディアによると、この「魔法の黄色い靴」は、
チューリップのメジャーデビューシングルとして
1972年6月5日に東芝音楽工業から発売された。
とあります。
タイトルに黄色が入った歌は、最初に挙げた「イエロー・サブマリン」と、
エルトン・ジョンの「イエロー・ブリック・ロード」が好きですが、
この「魔法の黄色い靴」もなかなかいいと思いました。
いままで食わず嫌いでしたね。
編曲:木田高介・チューリップ
というクレジットを見て、
ああ、この人の名前、見たことある
って思ってクリックしたら、
木田の葬儀に参列した五輪真弓が木田の妻の悲嘆ぶりを目の当たりにし、
それを基にして作った楽曲が彼女の代表作となる「恋人よ」であった
と書いてありました。
若くして亡くなられたのですね。
そうそう、魔法の黄色い靴といえば箱根駅伝。
スポーツ報知によれば、
6区の出場21選手は全員がナイキの厚底シューズを使用した。
前回大会に出場した210選手中177人(84.3%)が
ナイキの厚底シューズ「ズームXヴェイパーフライネクスト%」を使用。
今回大会往路では105選手中99人(94.33%)が
ナイキの厚底シューズを選択。
ですって。
スポンサーへの配慮から選手たちの足元はできるだけ写さない
という不自然な放送がされたようです。
商品名につく「%」はどういう意味なんでしょう。