というニュースで、
「監督の映画は初めて」と語っているのを見て、
あれ? 藤沢周平原作の時代劇に出てなかったっけ?
と思ったんです。
そしたらBSプレミアムで「花のあと」をやっていて、
そうそう、これこれ、と録画して観ました。
もう10年前の映画なんですねえ。
北川景子、花のさかりのお年頃というか。
これ、観たのは2回目なんですが、きれいさっぱり内容を忘れてました。
覚えてたのは北川景子が超絶きれいだったことだけ。
女剣士を演じるんです。
髷をといて髪をポニーテールに下ろした北川景子が
凛々しい稽古着姿で、道場一の遣い手(初恋の相手)と立ちあう場面、
これはもう女剣劇史上最高の名シーンといえるでしょう。
(清原果耶が「螢草 菜々の剣」で見せた殺陣も素晴らしかった)
この場面だけで映画の魅力の7割がたを見尽くしたと断言していいです。
男に小手をとられて体勢を崩したところを、
さっと抱き支えられて、思わず見返す北川景子の表情ときたら、
もうこれ以上の美女は世の中に存在しないんじゃないかってくらい、
観客・視聴者の視線を独り占めします。
それはもう独禁法に抵触しそうな勢いでした。
たとえるなら野生の牝鹿の超然とした美しさというか、
げっ歯目リス科の小動物のいたいけないかわいさというか。
きりっと口を一文字に結び、目を大きく見開き、
一瞬にして恋に落ちた衝撃におののくという以前に、
この未知なる感覚、内から沸き起こる熱い感情はなんなの?
と我を疑うような、そういう表現に見えます。
監督もよっしゃー!みたいな感じで、
この表情を何度もかぶせるかぶせる。
しかし、静かな映画です。
北川景子はほとんどセリフがなく、
整った顔を最大限に活かして表情のみの演技。
いや、その整った顔は演技不要の、
一幅の絵のようにも見えます。
相手役の宮尾俊太郎はバレエダンサーらしくて、
どおりでテレビで見かけない顔だと思いました。
姿勢がいいのも納得がいきます。
昼行燈だけど、実は切れ者、
みたいな役なんですけど、
この人だけはやめたげて~~~~~~!
と思いました。
役者としていい悪いじゃなくて、お似合いの相手に見えません。
この顔を北川景子が好きになるでしょうか。
せめて堺雅人とかねえ。
朝ドラ「スカーレット」の夫役だった 松下洸平とか。
でもこの映画は10年前の作品だから、まだ若すぎたか。
松下洸平ってシンガーソングライターでもあるんですね。
役者さんのほうがいいかも。
原作は藤沢周平の「海坂藩」ものなので、
東北の厳しい冬をはじめ、
春から翌年また来る春までの美しい風景が印象的です。
時代劇はこれ一本だけのようですが、
端正なつくりです。
ただストーリーはちょっとご都合主義的。
武家の息女が藩の実力者を呼び出して決闘するなど、
どこかの段階で周囲にばれて止められそうですしね。
またそうした「不法行為」が我が「お家」に、
災厄をもたらしかねないこともわかるはずですから。
そこらあたり原作ではどうなっているのか、
図書館で借りて読むことにしたいと思います。