最近、ハラル認証って言葉を聞くようになりましたね。
「ハラル」で、食事も含めて生活全般に細かな定めがあるそうです。
いま読みかけの「サファイアの書」。
5センチくらいの厚みがあります。
神のメッセージが浮き出るという「サファイヤの書」を探して
イベリア半島を旅する壮大な冒険譚です。
3人に託された暗号文を解いていくなかで、
宗教的な論争が出てくるので読むのに難儀します。
たとえば動物の肉や鶏の卵について両者で興味深いやりとりがあります。
オムレツを勧めればだめ。
理由は? 卵に血がほんの一滴でもついていたら困るから。
肉を勧めてもだめ。動物は、あんたたちの言う〈ショエト〉、
儀礼に則って殺生を行なう人間によって喉を切られなければならないし、
そのうえいろいろ複雑な処理をしなければならない……
それにどんな動物でもいいというわけじゃない。
なぜだ。蹄(ひづめ)が割れていない動物や
反芻しない動物は汚れていると言われているからだ。
野ウサギは反芻するが蹄が割れていないので食べられない。
豚は蹄が割れているが反芻しないので食べられない。馬は……
へ~~~、ややこしそう。
あまりに言われっ放しなので、イスラム教徒は
「豚に関して言えば、あんたたちだって同じだろう」と
反論します。
たしかに。だが、わしらが禁じられているのは豚とアルコールだけだ。
ところがあんたたちの宗教じゃ、食器でさえ罪に導きかねない。
なにしろ肉用と乳製品用と二種類用意しなきやならないんだからな。
あんたたちは……
と、ユダヤ教徒のほうもめんどくさそうです。
ところが、ユダヤ教徒がまた言い返します。
それじゃ言わせてもらうが、あんたたちは用を足すときに
右手でものをつかむことを禁じられているじゃないか。
メッカを向いても、メッカに背を向けてもだめで、
北か南を向いてしか用を足せないじゃないか。
砂漠で尻を拭くときは、
奇数の石を使わなければならないじゃないか!
最後の「奇数の石」は意味が解りませんが、
イスラム教徒もやっぱりややこしそう。
両者は互いの宗教を「とんでも禁忌」を揶揄しながら
わーわー口ゲンカするわけですが、
ここにもう一人、メンバーが加わることになります。
もちろんキリスト教徒です。
「勘弁してくれよ、もっと我慢ならん」と、
ふたりの間で意見の一致を見ます。
キリスト教徒のどこがどう我慢ならないのか、
それはこれから出てくるのかもしれません。