うめはらなかせの日記みたいな掲示板2

アコースティックギターの前にすべての曲は平等である

いまの私はそのときよりずっと若い

ボブ・ディランの曲のなかで好きなのが、

My Back Pages

です。

マイ・バック・ペイジズとは、

「私の裏面」という意味だとか。

歌詞が面白いですよね。

Ah, but I was so much older then
I'm younger than that now.

ああしかし
そのときの私はえらく老けていて
いまの私はそのときよりずっと若い。

 

ボブ・ディランの活動30周年を記念して、

ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで、

1992年10月に開催されたトリビュート・ライブ

30th Anniversary Concert Celebration

(邦題:30周年記念コンサート)

そのライブアルバムに収められたこの曲が、

こないだカーオーディオから流れたので、

(SDカードに入れてるから偶然に流れたわけじゃないけど)

つい映像が見たくて探しました。

 これが出てくるまでけっこう探しました。 

 

www.youtube.com

 いや~、かっこよろしいなあ。

トップバッターから見ていきましょう。

 

ロジャー・マッギン

イントロがバーズですよねえ。

この曲、ぼくはバーズの演奏が大好きで、

歌もリードギターもかっこいいんです。

ディラン本人の演奏が芸術的でわかりにくいんですけど、

バーズは単純明快、くっきりはっきり一般人のぼくらに、

この歌の魅力を示してくれます。 

ロジャー・マッギンの後ろでディランが

ちゃんとギターを弾いて参加してるのが、

なんか微笑ましく、かわいく感じます。

トム・ペティ

ニール・ヤングのお隣で12弦ギターを弾いてる人。

ぼくは名前を聞いたことある程度で、ほとんど知らなかったので、

今度ちゃんとアルバムを聴いてみようかと思いました。

やっぱりかっこいいです。

67歳で亡くなったとは残念です。

ニール・ヤング

お祝いの席に呼ばれたのに、なんであんただけ普段着なの!

って、つい叱りたくなりますよねえ。

でもほんと個性的。客席からの歓声が大きく上がって、

みんなニール・ヤング好きなんだなあって、うれしくなります。

ニール・ヤングらしさ全開です。

エリック・クラプトン

ギターソロ、かっこよろしいなあ。

まさにクラプトン節。

ソロが終わって、どうぞお先にとばかり

ピックを持った右手を上げて譲るしぐさをするんですけど、

結局次にうたうのはクラプトンなんです。

どういう行き違いがあったのか。

まあ、しかし、歌もどすが効いてかっこいいですねえ。

クラプトンには求道者の風情をいつも感じます。

ボブ・ディラン

これまでの歌い手は自分なりの「小変更」は加えつつも、

ちゃんとメロディーをなぞってきたわけですが、

さすがディラン、

え? それって違うメロディーやん!

って言いたくなるほどの「大変更」にびっくりします。

ディランへの敬意を払うべき人たちにはとってもできないけど、

作曲者本人のみに許された創造的破壊ですね。

ウィキペディア――

ディランが元メロディを崩して歌い出すと

トム・ペティとG. E. スミスが顔を見合わせ苦笑いする場面が

観客の場面に差し替えられている。

って、なんででしょう。

ジョージ・ハリスン

アクの強い人たちが続いたので、

ジョージ・ハリスンの歌は一服の清涼剤みたいに感じます。

なんちゅうか、生真面目、端正。

なのでワンコーラス、同じ長さのはずなのに

あっという間に終わるんです。

ギターは小ぶりですねえ。

ニール・ヤング

今度はソロギターで登場。

クラプトンが雄藩の剣術指南だとすると、

ニール・ヤングは貧乏長屋の素浪人。

クラプトンが切れ味のいい名刀でスパッといくのに対して、

ニール・ヤングは浪人のなまくら刀で、大根切りするみたい。

なのに、なのに、なのに、

どうしてこんなに惹きつけるんでしょう。

あんた落ち着きないなあと、いろんな人に叱られてそうですよね。

でも、こういう「オッドマン」は集団に必要なんですよ。

法事にこんな親戚のじいさんがいたら面白そう。

 

以上、このビデオ、何度見ても吸い寄せられます。

ぼくらにとっては夢の競演ですが、

本人たちにとってもそうなんじゃないでしょうか。

互いに尊敬し、一目置く音楽仲間で、

かつライバル同士。

こいつはどんなことをやってみせるんだろって

興味津々ってとこじゃないでしょうか。

みんなと同じことはしたくないオトナコドモの

わがまま大会ですよね、これ。

 

年を取るといろんな常識や束縛から解放されて

自由になれる場合があります。

このライブではみんな別の意味で、

いまの私はそのときよりずっと若い

って主張してる。そんな感じがしました。

 

ちなみに、この演奏については、

この方のブログ、詳しいので紹介しておきます。

映像は同じでも、下のニコニコ動画(元の音声)と上のYouTubeと、

歌が違う事情も書いてあります。
 豪華メンバー Bob Dylan - My Back Pages - ニコニコ動画

 

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