10月30日付の朝日新聞、
ポール選んだ岐阜の「音」Why?
という記事。
これを読んで、いろいろ思い出すことがありました。
ポールというのはポール・マッカートニー、
岐阜の「音」というのはヤイリギターのことです。
エレアコ「YD-88」の左利き用が
ポールのツアーに採用されたのだけれど、
その理由がいまもわからないという内容でした。
1980年代終わりごろの話のようです。
理由を推測するに、アンプを通したときの音がよかったから
というのもあるけど、もうひとつは当時ヤイリが取り引きしていた楽器会社の、
ヨーロッパのアーティスト担当がイギリスのロックバンド、
ユーライア・ヒープのケン・ヘンズレーだったので、
彼がポールに紹介したのだろうということです。
ユーライア・ヒープというと戦車のジャケットを思い出します。
イギリスのチーフテン戦車です。
すんごい迫力ある写真だったので、
このジャケットだけでアルバムを買いました。
オレンジ色の煙幕なのか、光の加減でそう見えるのか、画像を加工してるのか。
戦車の名前だとチーフテンですが、バンドにチーフタンズってありますよね。
もしかして伝統音楽の担い手に敬意を表して、ジャケットに採用したのか……。
ウィキペディアによると、下記の意味。
「族長」もしくは「酋長」の意味で、
イギリスで「Chieftain」と言った場合、
特にスコットランド高地氏族をはじめとする
大英帝国隷下の族長や酋長を指す。
で、アルバムの中の1曲をなかせさんに送ったら、
やってもいいって答えでしたけど、もはや忘却の彼方でしょう。
ユーライア・ヒープってどういう意味かっていうと、
チャールズ・ディケンズの長編小説
「デイヴィッド・コパフィールド」
に出てくる人物の名前なんです。
イギリス人ならみんな知ってたんでしょうね。
これで思い出したのがハンバートハンバートです。
こちらはナボコフの小説「ロリータ」に登場する人物名でしたね。
ハンバートハンバートはユーライア・ヒープのネーミングが
かっこいいと思って、自分たちも! って名づけたんじゃないかしら。
音楽的には随分違うけど。
ヤイリの記事に戻りますが、1989年に始まるツアーで
東京に来て以降、ヤイリギターは使われていないとか。
それはなぜなのかという問い合わせはしていないそうです。
創業社長の言葉に、
「アーティストを縛るな」
というのがあって、「気に入れば、使ってもらえばいい」――
だから、売り込みや問い合わせもしない――ということです。
まさに職人気質ですねえ。
その感覚、よくわかります。
さて、件のギターは、たぶんこれ?
Paul McCartney - Yesterday (Live 1990) (Get Back World Tour) high definition