うめはらなかせの日記みたいな掲示板2

アコースティックギターの前にすべての曲は平等である

メビウスの和(ハモ)

激しい風雨ですね。

こんな朝にも新聞が入っています。

感謝です。

 

さて、こないだの「サワコの朝」に今陽子が出てました。

66歳? 若いですよねえ。

で、ザ・ピーナッツ「私と私」は名曲だと語ってました。

番組で流れたと思われる映像がこれ。


ザ・ピーナッツ 私と私

この映画、懐かしいですねえ。

生き別れになった双子が出会い、「ザ・ピーナッツ」として

人気歌手になるまでを描くミュージカルドラマ

なんです。

1962年公開だそうで、その当時ぼくは9歳だったことになります。

 

その頃、ぼくが通っていた京都市立永松小学校は、

河原町通りの仏光寺を西に入ったところにありました。

その河原町仏光寺の西北角(つまり通学ルート)に映画館がありまして、

そこで、この映画を見た記憶があります。

併映は「マタンゴ」だったような……

 

一度見ただけで、この歌がとても印象に残りました。

まるで二度と会えない恋人の思い出をたぐるかのように、

ぼくはこの歌のメロディーを心のなかで反芻していました。

後にザ・ピーナッツを稀代のコーラスグループと意識してからは、

そのハーモニーの見事さに感じ入りました。

 

ザ・ピーナッツのハモの特徴は、まず王道ハモってことでしょうか。

楽家が理論に則ってつくった感じがします。

コード感がはっきり出ているのです。

そしてメロとハモがシームレスだということ。

ニゾンとハモの切れ目がわからないほど、

融け合っているということです。

主旋律だと思って聴いていたら、

あ、ハモが入ってる! え? どこからハモってたの?

というふうに、ユニゾンをたどっているといつしかハモに入っています。

表側を進んでいると思ったら、いつの間にか裏側になっている

メビウスの環のようなものです。

 

この歌のうたい出し、

わ~たし~は~いつ~もふたり♪

ってとこでいうと、

わ~たし~は~いつ~

までがユニゾンで、

もふたり♪

からハモ。 

ニゾンでメロディーを強く印象づけ、

ハモで変化をつけ、歌を表情豊かにしているんですね。

ザ・ピーナッツの場合、声質が似ているから、

いかにもハモってますという作為が感じられません。

このハモづくりはアレンジャーがやってたのか、

それともザ・ピーナッツ本人たちがやっていたのかは寡聞にして知りません。

 

ザ・ピーナッツは多くの楽曲で素晴らしいハモを聴かせてくれるのですが、

「大阪の女」では終始ユニゾンです。

そうなんです。世の中にはハモろうとしてハモれない歌があるのです。

あのザ・ピーナッツにしてすらも。

いや、ハモらないほうがいい歌があるということでもあるのかしら。

「大阪の女」はソロシンガーがソロでうたうのではなく、

デュオがユニゾンでうたうからこそ、

どろ臭さい歌詞の世界が昇華され、上品な味わいを後口に残します。

 

ザ・ピーナッツ、ぼくのなかではサイモンとガーファンクル

グラハム・ナッシュと並ぶコーラスメーカーです。