なんてぼくは思うんですけど、その加藤登紀子が、
君は、歌はうまくない
って言われてたなんてびっくりしました。
朝日新聞の「もういちど流行歌」というシリーズ記事で
「知床旅情」を取り上げているなかで、書かれていました。
発言者は森繁久彌です。
記事によると「知床旅情」は1960年の映画
「知の涯てに生きるもの」の撮影で、
森繁翁が長逗留して世話になった知床半島の人たちへに
感謝の気持ちを込めて作詞作曲したもの。
歌はユースホステルを旅する学生たちの間に広がり、
それを京都・河原町のバーで伝え聞いたのが、
学生運動をしていた彼は、
歌謡界にデビューして3年目の加藤登紀子に、
集会でうたってもらおうと面会し、
やがてただならぬ仲に発展するなかで、
この歌を彼女に教えたということです。
70年にこれをシングルレコードで発表。
宣伝もしていないのにミリオンセラーを記録します。
その後、森繁翁と親交ができた加藤登紀子が
言われたのが冒頭の言葉です。
君は、歌はうまくない
でも、心でうたっているな
と認めてくれたといいます。
残念ながら朝日新聞のこの記事を書いた人、
どうして森繁翁が「君は、歌はうまくない」と語ったのか、
その重要なポイントを掘り下げていません。
デビューした66年の日本レコード大賞新人賞を受賞しています。
歌がうまくないはずはないのに、あえてそう言ったのはなぜか。
その疑問に答えてこそ、輝ける天下の新聞記者ってもんじゃないでしょうか。
(と一介の安もんライターのぼくは思います)
それとも本当に歌はうまくないって思ってたんですかねえ。