うめはらなかせの日記みたいな掲示板2

アコースティックギターの前にすべての曲は平等である

音楽のような偶然

奇跡のシンフォニー」という映画を録画で見ました。

タイトルからするとオーケストラの映画かなと思ったら違っていて

実はギターが重要な役割を果たすんです、これ。

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原題は「オーガスト・ラッシュ」(八月の興奮)なので、

それだとまったく内容は想像できないですね。

 

この映画、そんなできすぎた偶然あるわけないでー

というご都合主義のオンパレードなのですけれど、

ま、そこは辛抱したげよっかって思えるくらい、

音楽ファンタジーなんですよ。

 

以下ネタバレがありますので、これから見たいという方は、

読まないでくださいね。

 

主役は11歳(?)の天才音楽少年。

まわりのいろんなものから音楽が聴こえるのですが、

親がいない子どもなので施設で育ち、

音楽教育は一切受けていません。

どうしても自分の親に会いたくて

施設を脱走するところから物語は始まります。

 

少年の親はロックシンガーとチェリストという男女。

ある夜、偶然出会って意気投合して恋をして、

一夜を共にして、再会を約するのだけれども、

諸事情があって別れ別れになるという、よくある話です。

 

ニューヨークに凱旋門ってあるんですね。

ふたりが再会を約した場所が「ワシントン門」のある広場です。

♪ワシントン広場の夜はふけて~♪

でおなじみの場所でしょうか。

 

さて、ニューヨークに出てきた少年です。

彼は公園でギターの弾き語りをしている黒人少年が気になり、

追いかけていくうちに家出ッ子たちのたまり場へ。

そこで初めてギターというものに触れた少年、さすが天才です。

見よう見まねですぐに弾きこなすのです。

これがいきなりブルースギターを弾いたら、

そんな急にできるわけないと思うところですが、

タッピング奏法とボディーヒットってやつですね。

ギターの弦やネック、ボディーを

まるで打楽器のようにたたいて音を出す。

なるほど、これなら初めてギターに触った音楽の天才が

やってしまうのかもって思いました。

 

ちなみに家出少年にストリートミュージシャンをさせて、

その上前をはねる親玉の役に、

亡くなったロビン・ウィリアムズが扮しています。

 

彼らのたまり場に警察の手入れがあって、子どもたちは散り散りに。

少年は聴こえてくる歌声に導かれるようにして教会に入ります。

そこでゴスペルをうたう少女と出会い、

彼女からピアノと譜面について簡単に教わります。

 

少女は、

veryoodoyoesine

とか口ずさみながら、右手でEGBDFと弾きます。

左手は、

reatigogsightnimals、

llarsatas

と言いながら鍵盤を鳴らします。

この数分の「講義」を受けただけで、

少年はなんと独学で譜面をマスターして、

数時間後には山ほど作曲して譜面を書くのです。

 

そのあとも初めて触ったパイプオルガンを壮大に奏でて、

これを見た牧師さんが驚いて、ジュリアード音楽院に推薦します。

住所も本名もない少年がすごいとんとん拍子に。

 

そこでも少年は天才ぶりを発揮して、ついには交響曲を作曲、

これがニューヨークフィルのサマーコンサートで演奏されることに。

まさに「ハ月の興奮」です。

(ちなみにこれはロビン・ウィリアムズが少年に与えた芸名でもあります)

 

そんなあほな~~~~でしょ?

言うたらあきません。

それを言うたら、この映画、楽しめませんから。

 

しかし、また事情があって少年はジュリアードを出ます。

と、そこにギターを手にした少年の父親が登場します。

父親は自分が子持ちであることすら知りません。

ロックバンドでボーカルをやってる父親は

偶然、公園で演奏している我が子、ギター少年を見かけるのです。

(そんなあほな~~~~)

 

我が息子とはつゆ知らない父親は好奇心から声をかけ、

お、ギブソンJ200じゃないか、いいね

なんて言いながら、ふたりでギターを交換してセッション。

これがすばらしくかっこいい共演なんです。

「Dueling Guitars」


August Rush - Louis & Evan Playing Together (Dueling Guitars)

なぜかどちらのギターも同じ変則チューニングやった!

(そんなあほな~~~~)

 

そしていよいよ大団円、少年の交響曲が演奏される野外ホールに、

偶然にも音楽活動に復帰したチェリストの母親が、

ニューヨークフィルと共演していました。

(そんなあほな~~~~)

 

で、ここで親子三人がついにめぐり会って、

感動の大ハッピーエンドに!

(そんなあほな~~~~)

 

頻繁に起こる「偶然」さえ気にならなければ、

奇跡のシンフォニー」、いい映画だといえます。

それなりに感動もできます。

少年が「作曲」した交響曲も美しいメロディーだし。

きっとこの日記を読んでからでも楽しめると思います。

 

あなたの音楽はどこから来るの? 

 そう聞かれた少年が答えます。

 朝起きたとき、道を歩いてるとき、どこからでも聴こえてくる。

楽譜を書くのはぼくの返事。

ぼくに音楽をくれた人への。

 

この映画、音楽は人をつなぐってことが言いたいんですよ。

音楽は無理にでも人をつなぐ、かな。

ぼくとなかせさんのように。