明るいニュースが乏しいなか、
一瞬光が射したように感じました。
京大の先生が、現代数学で最も難解だという
「ABC予想」を証明したんですってね。
京都人にはとくにうれしいニュースです。
(証明した望月新一教授は東京生まれですが、そこはスルー)
新型コロナのことがなければもっと大々的に報じられたでしょう。
しかし、これ、すごいすごいっていいますけど、
どうすごいのか、まったく理解できません。
なんせぼく、高校数学がチンプンカンプンでしたから。
だからというか、だからこそというか、
科学にはとっても憧れがあって、学生時代に、
こんな本を買っていました。
それから30年以上がたって、いまやっと、
薄っぺらな文庫本だというので高をくくって読み始めたわけです。
「超多時間理論」「くりこみ理論」の発見による「量子電磁力学の進展」
によって受賞したそうです。
この受賞理由がすでにぼくには意味不明です。
ところが、
先生は非常に専門的で講演な内容を極めて平易な言葉で
専門外の人々にも分かりやすく語られることの名手でもあられる。
という「解説」の言葉を信用して買ったのだと思います。
原子の研究が急速な進歩を始めた19世紀末、
原子は小さいだけで本質的には米粒などと変わらないもので、
古典的な物理の法則に従って行動すると考えられていました。
ところが20世紀に入って、それまで波だと思っていた光が
粒子のように振る舞う現象や、粒子だと思っていた電子が、
波のように振舞っていることを示す現象が発見されます。
光や電子は波なのか粒子なのか。
それまでの物理の常識から外れた粒子の動きを、
著者は「光子の裁判」という
光を擬人化した裁判劇で説明しようとします。
被告の「波乃光子」が二つの窓から同時にしのび込むことが
できたとする弁護士と、その非常識な論理に合理的な疑義を挟む検察官。
両者の息づまる論戦が繰り広げられます。
はたして……
はたして、その擬人化された量子力学の解説を
このぼくが理解できたかというと、
全然だめでした。
あ~~、しんど。