父の残した蔵書のタイトルです。
時代小説のアンソロジーで、
第一巻は「秘剣、豪剣、魔剣」。
いわゆる剣豪小説を集めた短編集ですね。
小説のタイトルの裏に作家の略歴が記されていて、
みなさん一流大学卒ばかりのなか、
池波正太郎って小学校卒? と最初に驚きました。
平手酒造、荒木又右衛門、沖田総司……などなど、
伝説の剣豪・剣客が登場して、
どの小説も面白いです。
なかなか発見が多くて。
たとえば――
甲斐の国を訪れたときは百人余の家来を従えていたそう。
(卜伝最後の旅/池波正太郎)
実は69歳の老人になっていたとき。
武蔵は元気盛りの29歳。
山田浅右衛門、通称首斬り浅右衛門で有名な山田家は、
刀の鑑定で生活を立てていて、首斬り役ではあったが、
禄のない浪人だった。
収入のもう一つは、科人の脳や肝をとって、薬をつくること。
浅右衛門の薬は有名でかなり高価で売られていた。
(項の貌/渡辺淳一)
「項の貌」は「うなじのかお」と読みます。
なんてことがいっぱい出てくるんで、
もう少し詳しく紹介したいんですけどね。
今度またエネルギーのあるときに書いてみたいと思います。
手にずっしり重い、分厚い本で、装丁も立派(定価1600円)。
いまパラパラと読み返してみると、
どんな話やったかもう忘れてますけどね。
本の奥付を見ると、1990年発行となっています。
それは父が亡くなる前年なので、
果たして病床にあった父は最後まで読めたのかどうか。
息子が読了するなら多少の供養になるかな、
なんて考えています。