うめはらなかせの日記みたいな掲示板2

アコースティックギターの前にすべての曲は平等である

誤算が招く戦争

かなり前にこの本のことを日記に書いて、

それから間もなくして読み終えたんです。

「ザ・コールデスト・ウィンター 朝鮮戦争

 

それで感想を、と思ったけど、

あまりに内容たっぷりで要約もできません。

ぼくの理解力ではできないという意味ですが。

 

ひとつ思ったのはアメリカの兵士がなぜかくも命がけで、

彼らにとってさほど重要とも思えない国のために

戦ったんだろうかということです。

それは国への忠誠心と仲間に対する義務感

としか言いようがないのですけれど、

よくぞあの厳寒のなか辛い戦いをしたものだと思います。

それは中国軍の兵士についても同様です。

やっとの思いで国に帰っても第二次世界大戦のときのように、

英雄扱いされることもありませんでした。

 

本の正確な紹介は難しいので、

この戦争がなぜ起こったのか、

著者の総括するところを引用したいと思います。

それくらいならできそうです。

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すべての戦争はなんらかの意味で誤算の産物かもしれない。

と著者は記しています。

朝鮮では戦争当事者双方の重要な決定の

ほとんどすべてが誤算に基づいていた。

というのです。

 

以下、各国の誤算がどのようなものであったか、

抜き出してみると――

アメリカの誤算①

まずアメリカが防衛範囲から朝鮮半島を外し、

これがさまざまな共産側当事者の行動を誘発した。

ソ連の誤算①

冷血で計算高いスターリンでさえ、何回か誤算を犯した。

金日成の南への侵攻に青信号を出した。

アメリカの参戦はないと確信したのである。

アメリカの誤算②

アメリカは、立ち向かう相手の北朝鮮軍の能力をひどく過小評価する一方、

初めて戦闘に赴くアメリカ軍部隊の準備態勢を法外なまでに過大評価していた。

アメリカ軍は後に、中国の度重なる警告に注意を払わず、

三十八度線の北に進撃する決定を下した。

アメリカの誤算③
この戦争における単一では最大のアメリカの誤算があった。

マッカーサーが中国軍は参戦しないと確信したがゆえに、

はるか鴨緑江まで進撃することを決め、

自らの部隊をこのうえなく無防備な状態にさらしたのである。

●中国の誤算

そして最後は毛沢束だった。かれは兵士の政治的純粋さと革命精神が

アメリカ軍の兵器の優位(そしてその腐敗した資本主義的精神)よりも

ずっと重要であると信じ、そのために朝鮮最北部での緒戦の大勝利の後、

部隊をあまりにも南下させすぎ、その過程で恐るべき損害を出した。

ソ連の誤算②

ソ連は中国・北朝鮮への支援をしなかったことについても触れています。

致命的なまでに重要な初期の数か月間に

スターリンがしてくれなかったことについて、

中国は恨みを抱きつづける。

そしてこうした怒りの感情が数年後の中ソ決裂の要因になったのである。

北朝鮮の誤算

もちろん、金日成も誤算をした。

アメリカが韓国を守るために部隊を派遣することはない

と判断したばかりか、自分自身の声望とその革命とをめぐる神話のゆえに、

北の部隊が南に乗りこめば、南部の二十万の農民が

一致団結して立ち上がると確信していた。

金日成は国を統一できなかったばかりではない。

アメリカに韓国の重要度を格上げさせたのである。

 

国のリーダーが相手方の出方を読み違えることで、

戦争が起こってしまうのですね。

その結果、辛酸をなめるのは一般の国民です。

 

いま半島で起こっていることに思いを馳せます。

アメリカ大統領や韓国大統領は、

アメリカは韓国を守る意思がない、韓国は同盟を去る

といったメッセージを送っているかに見えるかもしれません。

そこから誤認が誤認を読んで、再び戦争が起こったりしませんように

と痛切に思いました。