うめはらなかせの日記みたいな掲示板2

アコースティックギターの前にすべての曲は平等である

「卒業」の謎

今年の単独ライブでは「ミセス・ロビンソン」をうたいました。

ご存じサイモンとガーファンクルのヒット曲ですね。

実は岡崎倫典という人の教則本がありまして、

「フィンガースタイルで弾くソロ・ギターの名曲集」

(この本、Amazonで高い値段がついてました)

というのに載ってるフレーズをちょちょいといただいて、

”なんちゃってコピー”で演奏いたしました。

 

で、そのライブのMCで話したことを日記に再録させていただきます。

なんでかって、なにか発見したみたいな気分になったので。

(客席から「考えすぎや!」という声がかかりましたけど)

 

さて、ミセス・ロビンソン」は

これまた有名な「卒業」(The Graduateという映画の挿入歌です。

ぼく、久しぶりに見たんです。

NHKのBSで放映してたから。

それで若い頃に見たのとは違う印象をもちました。

 

ひとつは女子大生エレーン役のキャサリン・ロスより、

主人公ベンジャミンを誘惑するロビンソン夫人役の

アン・バンクロフトのほうが色っぽいということ。

 

もうひとつはラストシーンです。

教会で結婚式中のエレーンを、

ウェディングドレスのままベンジャミンが連れ去り、

通りかかったバスに飛び乗って、2人で最後部に座ります。

若い頃はこれをハッピーエンドだと思っていたのですが、

いま見ると、ラストの重要な部分を見逃していたことに気づきました。

二人の表情が大笑いから徐々に真顔になって、

我に返ったように前をじっとみつめ、

「サウンド・オブ・サイレンス」が流れるなか物語は終わります。

 

あれ? こんなに不安な予感で終わる映画だったんだと、

改めて気づいたんですね。

MCでは、これをベトナム戦争と関連づけてしゃべりました。

この映画(1967年公開)が製作されていた当時は

ベトナム戦争の真っ最中。

なのに映画では戦争の影は表立って出てきません。

 

それで思ったんですが、

この主人公の行動は、東南アジアの共産化を阻止するという大義を掲げ、

戦争を始めてしまったアメリカの姿に重なるということです。

アメリカ軍が北ベトナムに攻撃されたというトンキン湾事件を、

きっかけとして無理やり戦争を始めたものの、

これをどうやって収拾するか、先の見通しがまったくなかった。

そういう国家レベルの”若気の至り”に気づいて、

ふいに真顔になってしまったのではないでしょうか。


最後部座席に意気揚々と座った二人を、

前の席にいた客が一斉に振り向いて見つめます。

怪訝そうで、ちょっととがめるような顔、顔、顔。

その表情が二人の多難な前途を物語っていました。

それに気づいて真顔になる二人。

タイトルの「graduate」は卒業して次の段階へ進むことを意味しますが、

次の段階ってなにがあるのでしょう? 

 

実は若い頃に見たときと同じ不可解さも感じました。

それはエレーンの気持ちです。

いったい自分の母親と関係を持った男を愛せるものなのでしょうか。

そこはいまだに謎です。